レノボ、AI時代に最適化した新データストレージ群を発表 業界初の液体冷却HCIも登場

2025年5月20日、レノボはAI時代の需要に応えるストレージ製品群の刷新を発表した。発表内容には、業界初の液体冷却型HCIを含む「ThinkSystem」「ThinkAgile」シリーズの21製品が含まれる。
データ品質やIT統合に関する課題を解決し、AI基盤の構築を支援する構成となっている。
液体冷却HCIを含む21製品でAIワークロードを加速
レノボは、エンタープライズ向けAIや仮想化に最適化したデータストレージソリューションを一新し、21製品から成る新ポートフォリオを発表した。
中心となるのは「ThinkSystem(※1)」「ThinkAgile(※2)」シリーズの最新版であり、液体冷却式のHCI(※3)やAIスターターキット、ハイブリッドクラウド向け構成などを網羅している。
注目すべきは、業界初となる液体冷却式HCIアプライアンス「Lenovo GPT-in-a-Box」だ。
これは高負荷なAI処理に対応し、前世代比で最大25%の電力削減を実現する。
「ThinkAgile HX」シリーズをベースに、生成AIへの迅速な対応と運用効率化を同時に叶える。
また、「ThinkSystem DG7200」は99%の密度向上と97%の省エネ性能を備え、データセンターの総所得コスト(TCO)削減にも貢献する。
さらに、AIモデル推論までの時間を短縮する「SDI V4シリーズ」や、GPU・ストレージ・ネットワーク構成を最適化したAIスターターキットなど、多様な業種・用途に対応した構成となっている。
※ThinkSystem:サーバーおよびデータセンター向けのコンポーネント製品ブランド。
※ThinkAgile:ThinkSystemハードウェアを採用した、コンバージドおよびアプライアンス型統合システムのブランド。
※HCI(ハイパーコンバージドインフラ):サーバー・ストレージ・ネットワークを統合し、仮想化基盤を簡素化する技術のこと。
AI基盤の構築を加速 省電力・一元管理で導入ハードルを低減
今回の発表は、AI基盤の導入ハードルを下げるとともに、サステナブルなインフラ整備にも一石を投じる内容となっている。
特に、液体冷却による電力効率の向上は、膨大な消費電力が課題となるAIワークロードにおいて重要なブレークスルーといえるだろう。
レノボがIDCと共同で実施した調査でも、AI導入にあたって最も重視されるのは「データ主権」「可用性」「コンプライアンス」であり、同社のソリューションはこうした要件への対応を明確に意識した設計だ。
一方で、導入に際しては依然として「既存IT資産との統合性」や「初期投資の大きさ」が障壁として残る可能性もある。
こうした課題に対し、レノボは「XClarity」などの統合管理ツールや、暗号化・フェイルオーバーなどのセキュリティ機能によって運用負荷を最小化する方向性を打ち出している。
今後、エッジからクラウドまでの分散型AIインフラを迅速に構築できるかどうかが、各企業の競争力を左右すると考えられる。
レノボの新ストレージ群は、その基盤づくりを支える有力な選択肢となりそうだ。