オラクル、AIクラウド需要拡大で来年度15%増収を予測

2025年3月10日、米国の大手ソフトウェア企業オラクルは、人工知能(AI)クラウドサービス(※1)の需要拡大を背景に、2025年度の売上高が15%増加するとの見通しを発表した。これは、アナリスト予想の12.6%を上回るものである。
同社はデータセンター(※2)の容量倍増やAI推進の合弁事業「スターゲート」への出資など、インフラ投資を強化している。
AIクラウドサービス需要の拡大と競合他社との差別化
オラクルのサフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は、AIクラウドサービスの需要拡大が売上高増加の主要因であると指摘している。
同社は、マイクロソフトやアマゾンが大きなシェアを持つクラウド市場において、AIを活用した大量データ処理能力の強化に注力している。これにより、競合他社との差別化を図っている。
さらに、オラクルはデータセンターと半導体技術への投資を積極的に行い、インフラの拡大を推進している。ラリー・エリソン会長は、今年中にデータセンターの容量を倍増させる計画を明らかにしており、これによりAIサービスの提供能力が向上すると期待されている。
合弁事業「スターゲート」への出資と最近の業績動向
オラクルは、オープンAIやソフトバンクグループと共に、米国のAI推進合弁事業「スターゲート」に出資している。このプロジェクトは、AI技術の発展を促進し、オラクルのクラウドサービスの競争力を高めることを目的としている。
一方、最近の第3四半期の売上高は141億3000万ドルで、予想の143億9000万ドルを下回った。しかし、クラウド売上高は23%増の62億ドルを記録しており、クラウドサービスの成長を示す重要な指標となっている。
また、業績予測発表後、オラクルの株価は時間外取引で2%上昇しており、市場はAIクラウドサービスの需要拡大に対する期待を反映していると考えられる。
今後の展望
オラクルのAIクラウド事業は、売上の増加を後押しする要因となるだろう。
特に、データセンターの拡張や半導体技術への投資が進むことで、処理能力の向上が期待される。
一方で、競争が激化するクラウド市場において、オラクルがシェアを大きく伸ばせるかは不透明だ。マイクロソフトやアマゾンがすでに確立している優位性を覆すには、さらなる技術革新や戦略的提携が不可欠となるだろう。
「スターゲート」プロジェクトへの出資は、AI技術の発展に貢献し、オラクルのクラウドサービスを差別化する要素となる可能性がある。ただし、合弁事業の成功はパートナー企業との協力関係や技術開発の進展に左右されるため、長期的な成果を見極める必要がある。
オラクルは今後も、市場の変動や規制の影響も考慮しながら、柔軟な戦略を取ることが必要となるだろう。
※1 AIクラウドサービス:人工知能(AI)技術を活用したクラウドコンピューティングサービス。大量のデータ処理や分析を効率的に行うことが可能で、企業の業務効率化や新たなビジネスモデルの構築に寄与する。
※2 データセンター:大量のデータを保管・処理するための施設。サーバーやネットワーク機器が集約されており、クラウドサービスの基盤となる。