オープンAIとコアウィーブ、119億ドルの契約締結へ

2025年3月10日、人工知能(AI)を専門とする米新興企業コアウィーブが、生成AI「ChatGPT」を開発したオープンAIと5年間で119億ドル相当の契約を締結したことが発表された。この契約にはAIインフラの提供が含まれているため、コアウィーブはオープンAIの運用を支える重要な役割を果たすことになる。
コアウィーブとオープンAIの提携がもたらす影響
オープンAIとコアウィーブの契約は、AI技術の発展に向けた重要な一手となるだろう。
コアウィーブは、AI向けの計算資源を提供する企業であり、AI開発に不可欠な高性能半導体の供給を支えている。特に、AI半導体市場を牽引するエヌビディアからの支援を受けている点が注目される。
契約の概要として、オープンAIは今後5年間で総額119億ドルを支払い、コアウィーブのAIインフラ(※)を活用する。さらに、コアウィーブはIPO(新規株式公開)を予定しており、その際に3億5000万ドル相当の株式をオープンAI向けに発行する計画を発表した。
この動きは、コアウィーブの市場価値をさらに引き上げる要因となっている。
オープンAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、コアウィーブがオープンAIのインフラ運用において不可欠な役割を果たすとコメントしている。
また、オープンAIはすでにマイクロソフトやオラクルと提携しており、さらにソフトバンクとの合弁事業「スターゲート」も進めている。今回の契約により、これらの提携関係を補完する形でAIインフラの強化が図られる見通しだ。
両社の今後の展望
今回の契約により、オープンAIは今後5年間にわたってコアウィーブの高性能半導体を活用できる。加えて、コアウィーブにとっても、オープンAIという大手顧客を獲得することで企業価値を高める要因となる。
しかし、デメリットも存在する。
まず、コアウィーブへの依存度が高まることで、オープンAIは特定のインフラ提供元に大きく依存するリスクを抱えることになる。仮にコアウィーブが財務的な問題を抱えたり、競争環境の変化によってサービス提供が不安定になった場合、オープンAIの事業運営にも影響を及ぼす可能性がある。
AI市場全体においても、クラウドインフラの競争はさらに激しくなり、価格や性能、供給の安定性が企業選定の重要な要素となる可能性が高い。
今回の契約が、AI業界の競争環境にどのような影響を与えるのか、引き続き注視する必要があるだろう。
※AIインフラ:AIの開発・運用に必要な計算能力やデータ処理能力を提供するシステムや設備の総称。データセンターや高性能半導体がその中心となる。