音楽ストリーミング・ダウンロードプラットフォーム「 Qobuz」　平均ロイヤリティを第三者が検証　

2025年3月21日、フランス発の音楽ストリーミングサービスQobuz（コバズ）は、第三者機関によって検証した1ストリーミングあたりの平均ロイヤリティを公表した。
これは音楽業界で初の試みであり、アーティストへの公正な報酬と透明性の向上を目指すものだ。

Qobuzの新たな取り組みとその背景

Qobuzは、音楽業界における透明性の欠如とアーティストへの公正な報酬の不足が問題視される中、これらの課題に取り組むための新たな施策を導入した。具体的には、第三者機関による検証を経て、1ストリーミングあたりの平均ロイヤリティを公表した。
2023年度のデータによれば、この平均ロイヤリティは約0.018002ユーロ（約2,898円）である。これは、1曲が1,000回再生されると、約18.02ユーロ（約2,898円）が権利保有者に支払われる計算となる。

Qobuzは無料プランを設けず、有料サービスのみを提供している。これにより、ユーザーあたりの年間平均収益（ARPU）は約117.60ユーロ（約18,910円）に達し、市場平均の約21.73ユーロ（約3,494円）と比較して約5倍の収益を上げている。

さらに、CDロスレスやハイレゾ音質のストリーミングを提供し、ユーザーは高品質な音楽体験を享受できる。
また、すべてのユーザーがハイレゾまたはCD音質のアルバムをダウンロード購入可能であり、多様なアーティストと音楽ジャンルにスポットライトを当てる編集者の選定によるプレイリストや特集も提供している。

Qobuzの副CEOであるGeorges Fornay氏は、「透明性向上のための第一歩」としてこのロイヤリティ率の公表を行ったと述べ、ユーザーが公正な報酬をアーティストに与えることの重要性を強調している。

今後の展望

この取り組みは、音楽の多様性を支援し、持続可能なストリーミングモデルを推進するための重要なステップと考えられる。
Qobuzの取り組みは、音楽ストリーミング業界全体における公正なビジネスモデルの確立に寄与し、アーティストやリスナーにとっても重要な意味を持つと期待される。

Qobuzが他の音楽ストリーミングサービスにも影響を与え、業界全体での透明性向上が進むことが期待される。これにより、アーティストへの公正な報酬分配が標準化され、音楽制作の持続可能性が高まる可能性がある。

また、ユーザーも自身の利用がアーティスト支援に直結することを実感し、サービス選択の際の重要な要素となるかもしれない。

ただし、各サービスのビジネスモデルやユーザー層の違いを考慮すると、全てのプラットフォームで同様の透明性が実現するには時間がかかる可能性がある。
今後、業界全体での協力や規制の整備が進むことで、より公正で透明性の高い音楽配信環境が構築されることが期待される。