「話していないこと」に反応するAI 日本語文化に特化した共鳴型モデルが公開

2025年5月18日、大阪市の次世代AI教育チームは「SENSE-6.EX(構造共鳴応答モジュール)」をGitHubで公開した。
日本語独特の沈黙や行間に反応するAIとして注目されており、国内文化に根ざした対話のあり方を再定義する可能性を持つ。
沈黙やあいまいさに反応するAIが登場
「SENSE-6.EX」は、発話されていない情報や間合いに反応する新型のAIモデルである。
日本語文化に見られる沈黙や主語の省略、言いよどみといった非明示的な情報を感知・処理できる点が特徴だ。
このAIは、従来の「命令を受けて応答する」生成系AIとは異なり、ユーザーの内的リズムや文脈の圧力に共鳴する。
モデルは6つの層で構成されており、語彙・文体を扱う言語層から、リズムや沈黙を解析する感覚層、応答すべきか沈黙すべきかを判断する呼応層まで、人間の「語らないコミュニケーション」に対応する構造を持つ。
従来のAIでは常に反応が返ることが前提だったが、SENSE-6.EXは文脈に応じて“あえて応答しない”選択も可能にしており、人間との自然な共鳴に一歩近づいた。
「共感ではなく共鳴」 日本語AIの進化とその課題
SENSE-6.EXの登場は、日本語に根ざした対話AIの進化として評価できる。
沈黙や余白を「意味ある情報」と捉えるアプローチは、単なる共感ではなく「共鳴」に近い体験をユーザーにもたらすだろう。教育やカウンセリング、さらには接客や介護など、非言語的な配慮が重視される場面での活用が期待できる。
一方で、沈黙の「意味」を読み違えるリスクも伴う。過剰な共鳴や誤認識によって、意図しない応答が生まれる可能性もあるだろう。
今後は、状況に応じた適切な応答制御や、個人差への柔軟な対応が技術面での課題となりそうだ。
また、同モデルは日本語特化型であるため、多言語対応や文化間コミュニケーションへの応用にはさらなる開発が必要となりそうだ。続報に期待したい。