メタが欧州でAIモデル訓練にユーザーデータ活用を開始

2025年4月14日、米メタ・プラットフォームズは、欧州連合(EU)において同社の生成AI「メタAI」の訓練に、ユーザーのやりとりや公開投稿のデータを使用すると発表した。EUの厳格な規制下での新たな一手として注目を集めている。
規制強化の欧州で、メタがAI訓練に「公開投稿」活用を明言 その背景にある狙いとは
メタ・プラットフォームズはFacebookやInstagramを傘下に持つ、米国カリフォルニア州拠点のテクノロジー企業であり、近年は生成AI領域にも注力している。同社は2023年より独自の大規模言語モデル「LLaMA(ラマ)」シリーズを展開し、AIチャットボット「メタAI」への実装を進めてきた。
今回、欧州での発表において同社は、ユーザーが投稿した公開コメントやメタAIとのやりとりをAI訓練データとして利用する方針を示した。
この動きは、EUで今年導入が始まった「AI法(AI Act)(※)」をにらんだ対応と見られる。同法は、個人情報保護やAI利用の透明性確保を求めており、企業によるデータ活用の自由度が極めて限定的だ。特にメタは過去にEU圏内でのプライバシー違反により複数回にわたる制裁を受けてきた経緯がある。
それにもかかわらず今回、成人ユーザーの「公開」情報のみを対象としたのは、AI訓練への法的な正当性を担保しつつ、規制の壁を抜ける戦略に出たと見られる。この選択は、生成AIの質を高めるための“合法的なリアルデータ”へのアクセスを確保するうえで、極めて実用的な判断といえる。
※AI法(AI Act):2024年にEU議会で可決された世界初の包括的AI規制法。リスクに応じた分類でAI技術の使用範囲や責任の所在を定めている。
本格化するAI競争の中、メタの欧州戦略が意味するもの 今後の展望と課題
今回の発表は、AI市場における同社の本気度を示す材料として注目されるだろう。
特にGoogleの「Gemini」やOpenAIの「ChatGPT」といった先行勢に対抗するには、ユーザーに即したデータを用いた精度向上が不可欠となるだろう。
一方、プライバシー保護を重視する欧州市場では、訓練に使用される「公開データ」の範囲や扱いを巡って今後さらなる監視や議論が起こる可能性も高い。仮に批判が高まれば、透明性をどこまで確保できるかがブランド価値を左右する局面も考えられる。
ただ、すでに米国や他地域ではユーザーデータを基盤としたAIトレーニングが進行しているため、欧州での足踏みは競争力低下を招くリスクがある。その意味で今回の動きは、規制と技術進化の狭間でメタが見出した“最適解”とも言える。
今後は他のテック企業も同様の手法で欧州市場へのAI展開を模索する可能性があるだろう。