Amazonプライムビデオ、広告時間を倍増 米報道で判明した「1時間あたり6分」の新常態

現地時間2025年6月12日、米業界メディア「Adweek」が報じたところによれば、Amazonの動画配信サービス「Prime Video」が広告時間を密かに増加させ、現在では1時間あたり約6分に達しているという。これは、2024年1月の導入当初と比べて、倍の水準に該当する。
Prime Video、広告時間が導入当初の2倍に
Amazonが運営するPrime Videoが、1時間あたりの広告表示時間を約6分にまで拡大した。これは2024年1月に広告を導入した当初の2〜3分半から約2倍に相当する。
Adweekの報道によると、広告増加は複数の広告関係者および内部資料によって裏付けられており、Amazonはこの変更について投資家には説明していたが一般ユーザー向けの公式アナウンスは行っていない。
当初の導入時には視聴体験を損なうとの懸念から一定の反発があったが、広告枠は比較的控えめに設定されていた。しかしその後の数カ月で広告の需要は高まり、Amazonは徐々に広告量を引き上げていった。
Amazonはこの動きについて「我々は広告の量よりも質や革新性を重視している。」と強調する。
2025年に入り「Brand+」や「Complete TV」といった新たな広告形式を導入し、視聴者の興味関心に基づいたターゲティングを強化している。単に広告の本数を増やすのではなく、ユーザーにとって関連性の高い広告体験を提供することが狙いだとしている。
広告増加が意味する今後 収益強化とユーザー離れの綱引き
広告枠の拡大は、Prime Videoにとって収益多様化の重要な手段であることは間違いない。競争が激化するストリーミング業界において、広告付きプランはサブスクリプション以外の安定収入源として有効だ。
実際に、調査会社Antennaの最新レポートでは「広告の有無を選べる場面では、4人中3人が広告付きプランを選択している」とされており、価格志向の消費者が一定数存在することが明らかになっている。
一方で、今回のように段階的に広告量を増やす方針には、透明性の欠如というリスクも潜んでいる。ユーザーに事前説明なしで広告体験を変化させれば、ブランドへの信頼性を損なう可能性がある。特に「広告が少ないからPrime Videoを選んでいた」というユーザー層にとって、現状の変化は不満を生む要因となりうる。
ただし、広告技術の進化によって、視聴体験をできる限り損なわない形での広告挿入が可能になりつつあるとも考えられる。Amazonが進めるパーソナライズド広告は、ユーザーの関心と連動したコンテンツ配信を通じて、広告をストレスと感じさせない新しいアプローチを模索している。
今後Prime Videoがさらに広告時間を増やすかどうかは現時点で不透明だが、ストリーミング市場全体が広告モデルへとシフトしているのは明らかである。広告とサブスクリプションのバランスをいかに取りながらユーザー体験を維持するかが、今後の鍵となりそうだ。