アシスト、Progress Corticon 7.1発表 AIが業務の意思決定を自動化

株式会社アシストは2025年6月2日、米Progress Softwareのルールエンジン「Progress Corticon」最新版であるバージョン7.1の提供開始を発表した。ルール開発支援のAI機能を強化し、業務判断の自動化をさらに推進する狙いだ。
自然言語でルール検索や文書生成が可能に
Progress Corticonは、人間による判断が求められる業務の意思決定を自動化する、ルールベースAI(※)製品である。医療・金融・行政など、高度なチェックや処理の自動化が求められる現場での導入実績を持つ。
今回提供が始まったバージョン7.1では、OpenAIと連携したAIアシスタント機能が新たに組み込まれた。これにより、自然言語での質問に対してCorticonプロジェクト内のアセット(ルール・フロー・データなど)を検索し、ルール内容に基づいた設計文書を自動生成できるようになった。
アシストはこの機能により、ルール設計者がドキュメント作成にかけていた工数を削減し、複雑なルールの意味や構造をチーム内で簡潔に共有可能にするとしている。特に、熟練者のナレッジを可視化し次世代へ継承する手段としても注目される。
さらに、「ルールテストジェネレーター」の追加により、ルールフローの問題箇所の特定や評価データの可視化が簡便化。
Corticon Serverと統合Webコンソールの運用性も向上した。単一の画面で複数バージョンのサーバー管理が可能になったほか、バージョン非互換時の自動ブロック機能も実装。これにより、大規模システムでのトラブル回避が期待される。
ほかにも、バッチルール処理時のキャッシュ活用による高速化や、JSON形式のオブジェクト配列対応強化により、外部システムとの統合も円滑になるなど、全体的に実運用に寄り添った改良が目立つ。
意思決定の自動化が加速 Corticon 7.1が切り拓くルールエンジンの新段階
Progress Corticon 7.1の進化は、ルール開発の「民主化」と「高度化」の両立を図る動きと捉えられる。従来は限られた専門職が担っていた判断ロジックの作成を、より広い職種が扱えるようになることで、組織の意思決定力が底上げされると予想される。
今後は、複雑な業務ルールを整理・最適化するアルゴリズムや、機械学習とのハイブリッド運用が進む可能性が高い。「人間の暗黙知」と「AIの分析力」を融合させた判断基盤の構築が志向されるだろう。
また、企業のAI活用が「業務効率化」から「意思決定の自動化」へ進化する中で、ルールエンジンの役割は一層大きくなる。行政手続きや保険審査、医療ガイドラインの自動適用などで導入が広がると見られる。
ただし、判断プロセスの透明性や説明責任を担保する設計思想がなければ、AI支援の社会的浸透には限界がある。ブラックボックス化を避けるルール設計が今後の重要な鍵となる。
※ルールベースAI:人間の業務判断を「条件→結果」というルール形式で明文化し、自動で判断処理を行うAI手法の一種。直感的な可視性とメンテナンス性が特徴。