Anthropic、「Claude Pro」プランを強化 Research機能と外部連携を追加し競争力強化へ

2025年6月3日、米AI企業Anthropicは、有料プラン「Claude Pro」に高度な情報検索機能「Research」と、外部アプリ連携を可能にする「Integrations」を追加したと発表した。競合のOpenAIなどと並ぶ機能拡充により、プロユーザー向けの利便性を大きく向上させた。
高度検索とアプリ連携、Claude Proでも利用可能に
Anthropicは、有料ユーザー向けの「Claude Pro」プラン(月額20ドル)において、従来は上位プランのみに提供していた2つの主要機能「Research」と「Integrations」をリリースした。
Researchは、AIが複数の信頼性ある情報源を自律的に検索・分析し、出典付きでレポートを生成する機能で、GeminiやChatGPTの提供するDeep Research機能に相当するものだ。
競合と比較した際のClaudeの特徴は、Google Workspaceなど外部サービスとの高度な連携性にある。
ユーザーが自ら情報を入力せずとも、メールやドキュメントを基にAIが必要な情報を自動取得できるようになっている。
Integrationsは、Anthropicが2024年に発表した「MCP(※)」に基づいて実装された機能で、AIアシスタントを安全かつ柔軟に外部アプリと連携させる。
すでにConfluenceやZapier、PayPal、Cloudflare、Asanaなど10の主要サービスと統合されており、カスタム開発も可能となっている。
今回のアップデートにより、Claude Proは上位プランに匹敵する実用性を備え、中小規模ユーザーでも高度な業務支援が享受できる環境が整った。
※Model Context Protocol(MCP):
AIエージェントと外部システムを安全かつ効率的に接続するための業界標準プロトコル。Anthropicが主導し、OpenAIやMicrosoftなども支持を表明している。
「Pro」層取り込みで差別化図るAnthropic
今回の機能追加は、OpenAIやGoogleが提供するAIサービスとの「有料プラン」競争において、Anthropicが差別化を図る動きだと思われる。
ユーザーにとっては、これまでエンタープライズ契約に限定されていた機能が、比較的手頃な価格帯で利用できるようになった点が大きなメリットである。
一方で、AIの外部連携が進むことで、プライバシー保護やセキュリティ確保の重要性も増していくと考えられる。
Anthropicは、安全性を担保するオープンプロトコルの普及に取り組んでいるが、今後は運用側のリテラシーも問われることになると予想できる。
今後は、他社も有料サービスでの競争を強化する可能性がある。
AIの性能が進化する中、どのように有料サービスにユーザーを引き込めるかが勝負になっていくだろう。