動画生成AIで高市総理対ウルトラマンが拡散 政府が利用者の法的責任を警告

2026年2月13日、日本国内で拡散している中国企業発の動画生成AIによる映像を巡り、小野田紀美経済安保・知的財産戦略担当大臣が会見で対応方針を示した。著作権侵害などの懸念を踏まえ、関係省庁と連携して精査を進めるとともに、利用者側にも法的責任が及び得ると警告した。
高市総理×ウルトラマン動画問題
問題となっているのは、2月上旬にベータ版が公開された動画生成AI「Seedance 2.0」である。記者からは、日本のIP(知的財産)とみられるキャラクターや実在の政治家を登場させた動画が自由に生成可能な状態にあり、SNS上で急速に拡散しているとの指摘があった。中にはウルトラマンシリーズや名探偵コナンのキャラクターが高市早苗総理と戦う、あるいは暴力を加える描写も確認されているという。
このAIは、TikTokで知られる中国企業バイトダンスが公開しているとされるが、日本国内では正式リリース前との認識だ。小野田大臣は、「既存作品に酷似した動画や実在人物を対象とした暴力的映像について、著作権や肖像権の侵害が懸念される」と明言した。
著作物の利用には原則として権利者の許諾が必要であり、無断活用があれば看過できないとの立場である。
政府は関係省庁と連携し、事案の実態把握と精査を急ぐ方針だ。あわせてバイトダンス社とコミュニケーションを取り、改善に努めるよう事務方へ指示したことも明らかにした。
AI法(※)に基づく指導・助言については、まず情報収集を進めた上で判断するという。
※AI法:日本政府が整備を進める人工知能関連法制の通称。
生成AI時代の光と影、規制の行方
今回の事案は、動画生成AIの表現力が飛躍的に高まったことを示す象徴的な出来事とも言える。誰もが短時間で高品質な映像を制作できる環境は、広告やエンターテインメント、教育分野に新たなビジネス機会をもたらす上、クリエイターにとっては制作コストの低減という明確なメリットがある。
一方で、既存IPの無断利用や実在人物を用いた過激な演出は、権利侵害や名誉毀損のリスクをはらむ。AIで生成したものであっても、利用者が公開すれば法的責任を問われ得る点は重い。技術の進歩が速いほど、法制度とのギャップは拡大しやすい。
今後は、AI事業者側のフィルタリング強化とともに、利用者のリテラシー向上が不可欠になるだろう。政府がどの段階で具体的な指導や規制に踏み込むのかも焦点だ。
生成AIの成長を促進しつつ、知的財産と民主主義的価値をどう守るか。日本のAI政策は新たな局面に入ったと考えられる。
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