米国が南カフカスでAI・原子力連携拡大 アゼルバイジャンと戦略憲章締結、ロシア勢力圏に経済安保網

2026年2月10日、米国のJ・D・バンス副大統領がアゼルバイジャンとAI開発などを含む戦略的パートナーシップ憲章に署名した。現地メディアが報じたもので、旧ソ連圏の南カフカスで米国の存在感が一段と強まっている。
AI・安保含む包括憲章に署名
バンス副大統領は首都バクーを訪問し、イルハム・アリエフ大統領と会談した。
両国はエネルギー、物流、人工知能(AI)、テロ対策など経済・安全保障を横断する協力を定めた戦略的パートナーシップ憲章に正式署名した。この協定はインフラ整備からデジタル技術までを一体化する包括枠組みであり、単発の投資協定とは性格が異なる。
さらに同氏は前日の9日、アルメニアでもニコル・パシニャン首相と会談し、原子力技術移転を可能にする協定交渉の完了文書に署名した。発電や研究分野での米国技術導入を想定した内容である。
アゼルバイジャンとアルメニアは長年、領土紛争で対立してきたが、米国の仲介により昨年8月に恒久和平へ向けた共同宣言を発表した経緯がある。
成長機会と地政学リスクの交錯
AIやエネルギー、原子力を束ねた協力体制は、南カフカスにとって産業高度化の起爆剤となる可能性がある。データ解析や物流最適化、スマートグリッドといった分野で米企業の投資が進めば、現地の雇用創出と技術移転が同時に進展するだろう。スタートアップやIT人材の流入も期待され、地域経済の多角化が加速すると考えられる。
一方で、米国依存の深化は外交バランスを崩す要因にもなり得る。地理上の実質距離が近いロシアとの摩擦が強まればエネルギー供給や安全保障環境が不安定化し、企業にとっては政治リスクが投資判断の重荷となる。また、AI技術の軍民両用化も課題で、監視や軍事利用への懸念は国際的な規制議論を呼び込む可能性がある。
南カフカスは今後、テクノロジーと地政学が交差する最前線となる重要な拠点となるだろう。経済成長のチャンスを取り込めるか、それとも大国間競争の摩擦に巻き込まれるか。
緻密に計算されたAI外交は、今回のケースをはじめ、今後さらに活発化していくとみられる。
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