グーグル・クラウドとリバティGが5年提携 欧州8000万回線に生成AI実装、通信基盤が“AI前提”へ転換

2026年2月3日、ロイターはロンドン発で、グーグル・クラウドと欧州通信大手リバティ・グローバルが5年間の戦略的提携に合意したと報じた。生成AI「Gemini」などを同社の欧州事業に導入し、テレビや顧客対応を高度化する大型連携である。
Gemini導入、欧州通信網を刷新
両社の合意により、リバティGはグーグル・クラウドのAIモデル「Gemini」や各種クラウドツールを自社の欧州事業に本格実装する。
対象は同社の「ホライズン」TVプラットフォームで、視聴者の行動データをもとにした検索・発見機能の高度化、カスタマーサポートの自動化が中心施策となる。生成AIを活用し、問い合わせ対応やコンテンツ提示をリアルタイムで最適化する設計だ。
リバティGは英国ヴァージン・メディアO2、ベルギーのテレネット、オランダのボーダフォンZiggo、スイスのサンライズなどを傘下に持ち、欧州全域で約8000万の固定・モバイル接続を展開する巨大オペレーターである。
これら広範な回線と顧客接点にAIが横断的に組み込まれることで、通信と放送、サポート業務が単一基盤上で統合される形になる。
さらに、ピクセルのスマートフォンやスマートウォッチ、スマートホーム機器などグーグル製デバイスの提供拡大も予定され、クラウドから端末までを束ねたエコシステムが強化される見通しだ。
単なるIT導入ではなく、通信事業そのものをAI前提に再設計する5年間の構造転換と考察できる。
効率化の恩恵と依存リスク、競争軸はAI活用力へ
メリットは明確である。視聴履歴や利用データを解析することでレコメンド精度は高まり、広告価値も上昇する。
チャットボットや自動応答による顧客対応は人手を削減し、運営コストの圧縮と満足度向上を同時に実現できる可能性が高い。通信会社が「回線販売」から「体験提供」へと進化する契機にもなる。
一方、特定クラウドへの依存が深まることで、ベンダーロックイン(※)やデータ管理リスクが拡大する懸念は残る。障害や仕様変更が事業全体に波及すれば影響は大きく、特に障害発生時においては多くのサービスが利用不能に陥り混乱を招く恐れがある。
また、欧州の厳格な個人情報規制への対応コストも増すだろう。
通信×生成AIの統合は不可逆の流れであり、成功すれば同様の提携が各国に広がる公算が大きい。
今後の競争軸は回線数ではなく、どれだけ賢くかつ効率的にデータを活用できるかに移ると考えられる。
※ベンダーロックイン:特定のクラウドやIT事業者に依存し、他サービスへ移行しにくくなる状態。コスト増や選択肢の制限を招く要因となる。
関連記事:
NECとGoogle Cloudが包括的AIエコシステム構築へ A2A対応エージェント開発で協業加速












