長崎大学、実海域技術開発研究新拠点を開所 AI海中ロボット活用を事業化へ

2026年1月27日、長崎大学は「実海域技術開発研究推進センター」を開所した。AI搭載の海中ロボットを活用し、磯焼け対策や無人調査、海上輸送の実証と事業化を進める拠点である。危険な海中作業をロボットに置き換える取り組みが国内の海洋DXを押し上げる。
AI海中ロボと高速船型機で実海域研究を本格化
同センターは、同大が蓄積してきた海洋ロボット技術を実海域で検証し、社会実装までつなげる専門拠点として新設された。磯焼け(※)対策では、AIを搭載した海中ロボットを用い、藻場の分布や生育状況を自動観測する。取得した映像や環境データを解析し、海藻減少の兆候を早期に把握する狙いだ。
さらに、既存の高性能ロボットには3Dカメラを追加搭載し、人が立ち入れない深海や荒天下での点検を実施する計画である。さらに最速時速200キロで海面を走行できる船型ロボットも開発中で、将来的には患者や医療機器の搬送など新たな海上輸送手段としての活用が期待される。
山本郁夫センター長は「危険な海中作業をロボットが代替できる」とし、安全確保と効率化の両立に意欲を示した。2025年度中には赤潮監視ドローンや海洋設備の無人点検の実験も予定する。
※磯焼け:海藻が広がる藻場が消失し、岩場が露出する現象。生態系や漁獲量に深刻な影響を与えるとされ、沿岸地域の重要課題となっている。
安全性向上の切り札か、コストと運用課題も
海中作業の無人化は、潜水事故リスクを抑えつつ長時間観測を可能にする点が最大の利点だ。AI解析により赤潮や設備劣化の兆候を早期検知できれば、漁業被害や保守費用の削減にもつながる。海洋データの蓄積は、防災や物流を含む周辺産業の高度化を後押しするだろう。
一方で、機体価格や維持費の高さ、通信環境の不安定さ、専門人材の確保は現実的なハードルだ。自律運航が進むほど責任分界やセキュリティ対策も問われる。
不安要素を考慮した上で、実海域での継続的な実証が進めば、日本発の海洋ロボティクス市場が形成され、新たな産業基盤へ発展する可能性があるとみられる。
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