SONY、最新プロセッサーとAIを融合したα7Vを発売 最高峰の映像体験を創出

スマートフォンの台頭により縮小するレンズ交換式カメラ市場 存続の一手は優位性のプロモーションにかかる
SONYはAI技術を搭載したフルサイズミラーレス一眼カメラα7Vを2026年春に発売する。同機はSONYが発売する製品ラインナップの中でベーシック機と位置付けられている。
SONYは、かつてMINOLTAが展開していた”α(アルファ)”の名前を継承し、NikonやCanonに先駆けてミラーレスカメラを開発。NikonとCanonの2強体制であった一眼レフ市場のユーザーシェアを急速に取り込み、レンズ交換式カメラ市場全体におけるシェアを塗り替えた経緯がある。
しかし、従来の2大カメラメーカーからシェアを奪取することができたタイミングで、SONYに対して強い向かい風が吹く。それがスマートフォンの普及とスマートフォンに付帯するカメラの高性能化だ。
「SNS向けに写真を撮りたくなったら、サッと端末を取り出して写真を撮ることができる」。
その便利さに惹かれて、多くのユーザーがスマートフォンで必要十分と感じるようになった。
それでもなお、時代の変化でシェアを奪われつつも、一眼レフやミラーレス一眼カメラといったレンズ交換式カメラにも勝機は残っている。
具体的には
①暗所耐性
②AF(オートフォーカス)をはじめとした自動補正機能の実用性
③多彩な交換レンズによる豊かな映像表現が可能
の3つが挙げられるだろう。これら3つに対して順を追って記述する。
①暗所耐性
デジタルカメラには、必ずレンズから集めた光を受け取るセンサーがある。センサーには受光素子と呼ばれる微細な構造が高密度に配置されており、この受光素子が何個埋められているかを表す指標が「画素数」だ。
たとえば「2400万画素」であれば、そのカメラのセンサーに2400万個の受光素子が埋め込まれていることになる。
次にセンサーの大きさについても考えてみよう。スマートフォンのような小さな筐体に搭載できるセンサーは当然小さくなる。一方でミラーレス一眼カメラに搭載されているセンサーは36×24版のフルサイズと呼ばれる、比較的大型のセンサーだ。
小型のセンサーと大型のセンサーに同量2400万個の粒子を詰め込むことを考えると、必然的に1つ当たりの粒子は「大型のセンサーの中に据えられたもののほうが大きくなる」ことは自明だろう。これこそがセンサーが大きいことの優位性だ。
1つあたりの受光素子そのものの大きさが大きくなると、暗闇での写真撮影に多大な恩恵がある。例えば星を撮ることを考えた時、スマートフォンのカメラでは酷くノイズが乗ってしまう。
一方でミラーレス一眼カメラであれば受光素子の面積が大きいため、同じ露光量でも多くの光を取り込むことができるのだ。
さらにα7Vでは、このような暗闇での撮影においてボディーに内蔵されたAIプロセッサーが映像の階調を乱さぬようサポートする。
昨今、Adobe Photoshopをはじめとして画像編集ソフトもAIの技術を用いてカラーノイズやディテールの修復を行う機能が実装されているが、それらの処理を撮影時に「カメラ本体」がサポートする機能は、即時性を求められる報道現場では特に重宝されるだろう。
②AF(オートフォーカス)をはじめとした自動補正機能の実用性
ミラーレス一眼カメラの最大の恩恵はAF性能にあるといってもいい。暗所耐性については、従来主流であった一眼レフ機でも十分であった。その後、ミラーレス一眼カメラが台頭した最大の要因はAF性能の多様化だ。
一眼レフカメラでは、シングルポイント(撮影者自らが一点のフォーカスエリアを指定する方式)を用いて実質的に半マニュアル的に被写体を追いかける必要があった。
一方でミラーレス一眼カメラでは、さまざまな開発段階で学習データをカメラ本体に記憶させることで、自動的に「鳥」「人物」「飛行機」などといった特定の被写体を検出し、画面のどこに被写体を配置したとしてもピントを追従する。
「鳥」や「人物」に関しては、瞳にピント面を合焦させ続け、対象の被写体が回転したり目線を背けたとしても、目線が戻るとユーザーが何か特別な操作をすることなく、カメラ側が自動的に再度ピントを合わせる。
「飛行機」の場合は、被写体を検出した瞬間コックピットを追い続け、コックピットが見えなくなる後ろからの画角の場合は胴体全体にピント面がくるように学習されているといった具合だ。
カワセミなど動きの速い野鳥や、急激な機動を行う戦闘機も難なく追い続ける点はミラーレス一眼カメラ特有のアドバンテージだ。
さらに、ミラーレス一眼カメラは「ソフトウェア(ファームウェア)アップデート」が存在する。一眼レフカメラ時代にも同様のシステムは存在したが、ミラーレス機のそれは一線を画す。
ソフトウェアアップデートを行うことで、カメラボディの筐体はそのままに、まるで新しいカメラを買ったかのような新機能が続々とアップデートされる姿は、スマートフォンにおけるソフトウェアアップデートそのものの感覚だ。
これは、電子制御により構成されるミラーレス機ゆえのアドバンテージと言える。さらに、AIの搭載によりデータの学習効率も最適化され、数ヶ月に一回のペースで新機能が盛り込まれることが当たり前になっている。
α7Vでは、AIのディープラーニングを用いてオートホワイトバランス(青みや黄色みの調整)や、写真全体の忠実な色再現性をサポートする。
現代設計のレンズにボディー内の学習データが組み合わさることにより、より精細な色再現と作品表現が可能になるのだ。
③ 多彩な交換レンズによる豊かな映像表現が可能
レンズ交換式カメラの利点は、その名の通り撮りたい被写体に合わせてレンズを交換できる点にある。
「花」や「昆虫」を撮りたい場合、等倍(実際の被写体と同じ大きさ)まで寄ることのできるマクロレンズを使用したり、「鳥」などの遠くの被写体を撮りたいのであれば600mmや800mmといった望遠に特化したレンズを装着することでクリアな画像を得られる。
スマートフォンの場合は電子ズームを使用するため、どうしても画質が低下してしまうが、レンズ交換式カメラの場合は光学的に適切な焦点距離の被写体に対する撮像を可能としているため、画質の劣化は一切ない。
また、ズームレンズにおいても従来は明るいレンズの代表格として24-70mm F2.8や70-200mm F2.8が主流であったが、技術の進歩により28-70mm F2や50-150mm F2といった、いままでよりも1段明るいレンズ開発が可能となった。
単焦点レンズも例外ではなく、従来の開放F値1.4ではなくF1.2が標準化。
このように、レンズ交換式カメラには「撮影する楽しみ」を我々に享受してくれるというメリットがある。
「この撮影にはどのレンズを持っていこう」「今日は35mmのレンズだけで散歩にいこう」といった独自の楽しみ方ができるのだ。
パンケーキレンズと呼ばれる、超薄型レンズを装着すれば、お手軽な撮影システムを組むこともでき、荷物を減らしたいときは広角から望遠までカバーできる高倍率ズームレンズを1本つけて旅行に行くのもいいだろう。
今後のレンズ交換式カメラ市場はどう生き残るか 価格高騰との向き合い方とメーカーが提示するソリューションは
SONY α7Vは売価約42万円と、お世辞にも安いとは評価できない。先代のα7IVは約36万円。さらに1世代前のα7IIIは約26万円と、ここ10年での価格の上昇幅にはユーザーのみならずメーカーも頭を悩ませているところだろう。
価格上昇の要因は、昨今の半導体不足や円安に影響されている面もあるが、それ以上に最先端画像処理エンジンの搭載や、α7VのようにAI技術を搭載するなどの新たな試みが主な原因だ。
金額面だけで判断すれば過剰投資とも取れるが、新技術の搭載により得られる恩恵は従来品との価格差以上に大きく、投資する価値は十分にある。
また、ミラーレス一眼カメラは一眼レフカメラと違い、消耗品が少ない点も利点だ。消耗品が少なければ必然的に機材の寿命が伸びるため、結果としてコストパフォーマンスが高くなるというメリットがある。
さらに業界全体に目を向けると、Nikon、Canon、SONYの日本3大カメラメーカーは、今までの静止画撮影だけではなく動画撮影でもプロユースとして売り出せるスペックを搭載し、カメラ機材の価値を向上させる試みを加速させている。
所有しているレンズとカメラだけで静止画も動画も網羅できるのであれば、新たにビデオ専用機を買う必要がなくなり、静止画と動画両方のクリエイティブ活動を手がける層にとって実質的な出費はあまり変わらない実情がある。
この戦略は3社とも良好のようで、一度落ち込んだレンズ交換式カメラの売上高は各社右肩上がりに回復傾向を見せている。
今後カメラメーカーがさらに販路を拡大するためには、さらに踏み込みスマートフォンユーザーをターゲットにした販促活動が必要と言える。
α7Vをはじめとした現代のミラーレス一眼カメラは、AIや最先端の画像処理エンジンを最大限駆使し、昼も夜も、美しいと感じた景色を忠実に映すことができる。「AI技術の応用」と言う新しい試みがα7Vの成功により確立されれば、今後他社を含めたその他の機種にもノウハウが波及していくだろう。
カメラメーカーとしてのSONYの挑戦は、これからも続く。
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