VWグループ、自動運転の頭脳にトムトム採用 AI地図が車の判断力を引き上げる

2026年1月5日、オランダの地図大手トムトムは、高精度地図「トムトム・オービス・マップス」がフォルクスワーゲングループの自動運転システムに採用されたと発表した。
欧州発のこの提携は、AIと地図データが自動運転の中核技術として位置付けられたことを示している。
VW自動運転にトムトム地図 AI対応マップを中核採用
今回採用されたトムトム・オービス・マップスは、VWグループのソフトウェア子会社CARIADが開発する自動運転システムのコアコンポーネントとなる。高精度かつ最新の位置情報を提供し、車両が周囲環境を理解するための空間的な基盤を担う。
この地図は、道路形状だけでなく、地理、位置、状況、関連性といった文脈情報を含む点が特徴である。車載カメラやレーダーなどのセンサー情報を補完する地図レイヤーとして機能し、ソフトウェアスタック全体の認識精度を拡張する役割を果たす。
これにより、インテリジェント・スピード・アシスタンス(ISA)(※)からハンズフリー運転まで、安全性が重視される自動運転機能の性能向上が可能になる。
VWグループ各ブランドが今後投入する車両では、複雑な交通状況下でも、より予測可能で人間に近い挙動を実現することが狙いだ。
さらに、トムトムのAIネイティブな地図作成基盤は、車両センサー、車両計測、航空データなど複数ソースを統合するマルチソース方式を採用している。235以上の国と地域をカバーし、あらゆる道路タイプを分単位で更新することで、グローバル規模での自動運転展開を支えるという。
※インテリジェント・スピード・アシスタンス(ISA):標識認識や地図情報を基に、制限速度超過を警告・抑制する運転支援機能。欧州では新車への搭載義務化が進む。
高精度地図が競争力に 進化と依存の両面
今回の提携は、自動運転の競争力がハードウェアだけでなく、AIと地図データの質に左右される段階へ移行すべき時代の到来を意味していると言える。常時更新される高精度地図は、地域差や突発的な道路変化への対応力を高め、グローバルメーカーにとって大きなメリットとなるだろう。
一方で、特定ベンダーの地図基盤への依存が高まる点はリスクでもある。更新遅延や仕様変更が発生した場合、車両機能全体に影響が及ぶ可能性が否定できないためだ。
今後はオープン標準を前提とした相互運用性の確保が重要になると考えられる。
それでも、AIが生成・更新する地図が車の判断力を左右する流れは加速する見通しだ。
自動車産業の主戦場は、走行性能からデータと知能へと確実に移りつつあると言える。
TomTom Orbis Maps to power CARIAD’s Automated Driving systems | 公式プレスリリース











