熊出没情報をAIで即時共有 FASTBEARが全国の安全対策を再定義

2025年12月26日、東京大学・会津大学発スタートアップのAisometryが、全国の熊出没情報をAIで集約・可視化する「FASTBEAR」を公開した。日本国内47都道府県を対象に、散在する情報を一元化し、自治体と住民の迅速な行動判断を支援する。
全国47都道府県の熊出没情報をAIで自動集約・可視化
株式会社Aisometryは、熊の出没情報を地図と時系列で確認できるウェブダッシュボード「FASTBEAR」を公開した。
自治体や警察の公式発表、各種報道をAIエージェント(※)が自動で収集・整理し、リアルタイムに反映する仕組みである。これにより、利用者は最新の出没状況を一目で把握できるようになる。
対象は日本全国47都道府県で、地域ごとに異なっていた情報形式や更新頻度はAIによって統一フォーマット化される。これまで個別に確認する必要があった発表を横断的に比較できる点が大きな特徴だ。
開発の背景には、熊による人的被害の深刻化がある。
環境省の速報値によれば、令和7年度の熊による被害は230件、死亡者は13人に上った。現場の自治体職員は情報収集や住民への周知に追われており、迅速かつ正確な情報基盤の整備が急務となっていた。
FASTBEARは、その負担軽減と判断速度の向上を目的として設計された。
また本プロジェクトは、経済産業省の「未踏的な地方の若手人材発掘育成支援事業」の一環として進められているという。
今後は、産学連携による地域課題解決の検証や機能拡充が進められる予定である。
※AIエージェント:特定の目的に基づき、情報収集や整理、判断を自律的に行うAIシステム。
防災インフラ化への期待と課題 通知・検知との連動が焦点か
FASTBEARの最大のメリットは、情報の集約と可視化によって、住民と自治体の行動判断を早められる点だろう。過去10年分のデータを活用すれば、出没傾向の分析や注意喚起の高度化も可能になると考えられる。
一方で、情報の正確性と更新速度への依存はリスクとなる。
誤報や更新遅延が発生した場合、過度な警戒や油断を招く可能性があるため、運用ルールと検証体制の整備が不可欠だろう。
将来的には、Aisometryが開発中の熊検出AIカメラ「SENTINEL」との連携が重要な転換点になりそうだ。
一次情報の自動取得とFASTBEARの統合が実現すれば、予測から初動対応までを一気通貫で支える防災インフラへと進化する可能性がある。
AIを活用した野生動物対策が全国規模で実装されるかどうかは、今後の実運用と自治体連携の広がりにかかっていると言える。











