日立コンサルティング、AIエージェント導入リスクとガバナンスを包括支援

2025年12月18日、日立コンサルティングは、日本国内の企業・団体向けに、AIエージェント導入時のリスクとガバナンスを包括的に支援する新サービスを発表した。自律型AIの実装が進む中、信頼性を前提とした活用支援を明確に打ち出す。
日立、AIエージェントのリスク対策を包括支援
日立コンサルティングが提供を開始したのは「信頼できるAIエージェント活用コンサルティング」である。AIエージェントを安全に利活用したい企業や団体を対象に、導入検討から活用定着までをリスク・ガバナンスの観点で一貫して支援する。
同社はこれまで、AIガバナンス構築や生成AIの利用ガイドライン策定などを通じて、企業のAI活用における信頼性確保を支援してきた。今回、その対象をAIエージェントへと拡張し、日立グループにおけるAIエージェント事業支援や、国・公的機関プロジェクトでのELSI(※)研究の知見を体系化した。
AIエージェントは自律的に判断・実行する特性を持つため、従来の生成AIと比べ、誤動作時の影響範囲や責任の所在が不明確になりやすい。同社は、技術と制度の両面から対策を講じるとともに、段階的かつ探究的に導入を進める必要があるとしている。
また、AI、生成AI、AIエージェント固有のリスク構造を整理した上で、企業の成熟度に応じた支援が可能だ。既に生成AIガイドラインを整備済みの場合は、AIエージェント固有のリスクに特化した支援も提供する。
※ELSI:Ethical, Legal and Social Issuesの略。新技術が社会に与える倫理的・法的・社会的影響を整理し、課題と対応策を検討する枠組み。
自律AI時代の前提条件に 導入加速と統治負荷
本サービスは、AIエージェント導入に慎重な企業にとって心理的・実務的な障壁を下げる効果があるだろう。リスク対策を前提にした導入は、社内合意形成や対外説明を容易にし、結果として実装スピードを高める可能性がある。
一方で、ガバナンス整備には一定の時間とコストを要し、短期的なROIを重視する企業には負担となり得る。特に、エンドユーザーがAIエージェントを作成・利用する局面では、現場運用と統制のバランスが課題となるだろう。
ただし、信頼性を欠いた自律AIの拡散は、企業ブランドや事業継続性に深刻な影響を及ぼしかねない。
今後は「使えるか」ではなく「安全に使い続けられるか」が競争力を左右し、AIエージェント活用におけるガバナンス支援の重要性は一段と高まると考えられる。











