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    マクニカが米MemryX製エッジAIを国内展開 低電力・高精度推論を実装段階へ

    2025年12月16日、半導体商社のマクニカは、米MemryXと販売代理店契約を締結し、AI推論に特化したエッジAIアクセラレータを日本市場で提供すると発表した。低消費電力と高性能を両立する半導体技術が、国内の現場AI活用を後押しする。

    目次

    マクニカ、MemryX製エッジAIアクセラレータを国内提供

    マクニカは16日、米ファブレス半導体企業MemryXと販売代理店契約を結び、同社のエッジAI向け推論ソリューションを日本市場で展開すると明らかにした。

    MemryXは、独自のメモリ計算技術とデータフローアーキテクチャを活用し、エッジ環境での効率的なAI推論を可能にしている。AI推論ではリアルタイム性や演算性能に加え、消費電力やコスト、セキュリティの最適化が求められるが、同社は専用設計によりこれらの要件を満たすとしている。

    主力製品「MX3」は、ビジョンベースのAI推論において、一般的なGPUソリューションと比べて10%未満の電力で、より高いシステムパフォーマンスを実現できるとされる。米国ではすでに、AI搭載ビデオ管理システム(VMS)や産業用PC、エッジサーバー向けに採用が進んでいる。

    また、事前学習済みモデルの提供や、AIモデルのコンパイル・実行・統合を支援するツールが充実している点も特徴だ。特別なトレーニングやチューニングを行わず、導入後すぐにAIを動作させられる設計となっている。

    低電力エッジAIが普及へ 導入拡大の期待と課題

    今回の国内展開は、製造業やインフラ監視、小売、セキュリティ分野などでのエッジAI導入を加速させる可能性がある。低消費電力で高精度な推論が可能になれば、電力制約や設置環境を理由にAI導入を見送ってきた現場でも活用が現実的になる。

    特にクラウド依存を抑えたオンデバイス推論は、通信遅延の低減やデータ外部送信の回避につながり、セキュリティやプライバシー面での評価も高まりやすい。国内企業では、データ管理を重視する傾向が強く、エッジAIの価値は今後さらに認識されると考えられる。

    一方で、GPUを中心とした既存エコシステムに比べ、開発者層や国内事例の蓄積はこれからの段階だ。実運用に向けたサポート体制やパートナー連携をどこまで拡充できるかが、普及のスピードを左右する要因となるだろう。

    低電力・低コストなAI推論が標準化すれば、エッジAIは実験的技術から業務インフラへと位置付けを変える。その過程において、今回のマクニカとMemryXの提携は一つの転換点になる可能性がある。

    マクニカ プレスリリース

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