freee、AIで従業員の離職予兆を可視化 人事判断をデータ主導へ転換

2025年12月11日、国内クラウド会計大手のフリー株式会社(freee)は、AIが従業員の離職予兆を可視化する新サービス「freeeサーベイ」の提供開始を発表した。日本企業向けに、人材定着を支援するAI活用型の人事サービスとして展開する。
freee、AIが離職リスクを4段階評価する新サービス
freeeサーベイは、従業員の離職につながる兆候をAIで検知し、早期対応を可能にする人材定着支援サービスである。従業員の心理状態や職場への違和感といった「見えにくい変化」を可視化し、人事担当者や経営者が具体的な行動を取れる点が特徴だ。
本サービスでは、キャリア開発研究の第一人者である法政大学の田中研之輔教授と共同開発したサーベイテンプレートが採用されている。
従業員は月1回、約2分で回答できる簡易アンケートに答えるだけでよく、回答負荷を抑えることで継続的なデータ取得を可能にしている。
本サービスではアンケート結果を基に、AIが従業員ごとの離職リスクを4段階で自動評価し、優先的に面談すべき対象を可視化する。freeeの従業員ポータルや社内コミュニケーションツールと連携した通知機能により、回答漏れを防ぐ仕組みも整えた。
さらに、クラウド型人事労務システム「freee人事労務」と自動連携し、従業員情報や配信対象の設定を簡素化する。
時間外労働や深夜労働といった勤怠データもワンクリックで確認でき、主観的なサーベイ結果と客観データを組み合わせた把握を実現する。
人材定着の武器になる一方、運用設計が成否を分けるか
freeeサーベイの最大のメリットは、これまで経験や勘に頼りがちだった離職リスクの把握を、データとAIで補完できる点だろう。
特に、人事の専門知識が乏しい企業でも即座に実践的なフォローを行えることは大きな強みとなりそうだ。
一方でデメリットとしては、評価結果の伝え方や活用方法を誤ると、人事や上司に「監視」されているとの印象を与えかねない懸念がある。
社員に対してシステム本来の使用目的を明確に周知することに加え、AIの判定を絶対視するのではなく、対話の補助線として使う姿勢が求められるだろう。
将来的には、勤怠や給与といった従来の人事データに、エンゲージメントや心理状態の分析が組み合わされる流れが加速すると考えられる。
労働人口が減少する日本において、人材定着は経営戦略において非常に重要な要素の一つである。freeeサーベイは、人事DXが次の段階へ進むための象徴的なサービスになるかもしれない。
AIが従業員の離職予兆を可視化する「freeeサーベイ」の提供を開始 離職リスクのある従業員へのフォローアップで離職を防止











