産経新聞、競馬予想AIを無料提供 記者思考を学習し「聞けば分かる」体験へ

2025年12月12日、産経新聞社は中央競馬を対象としたAIサービス「ChatKeiba(チャットケイバ)」を国内向けに公開した。サンケイスポーツの記者予想を学習したAIが無料で分析を提示する。競馬情報の取得方法を変える新たな試みだ。
産経新聞、サンスポ記者予想を学習した競馬AIを公開
産経新聞社は12日、JRAが実施する中央競馬レース向けのAIサービス「ChatKeiba」の提供を開始した。ブラウザー上で利用でき、料金は無料となる。競馬予想を会話形式で得られる点が最大の特徴である。
本サービスは、サンケイスポーツが長年蓄積してきた出走成績、調教情報、記者の印やコメントを基盤に構築された。これらのデータから記者の思考パターンを学習させ、独自AIとして予想を生成する仕組みだ。単純な数値分析にとどまらず、評価理由を言語化する点に強みがある。
ユーザーはレースを選択するだけで、注目馬や推奨馬、調子の良い馬に関する評価を短時間で受け取れる。「このレースはどの馬を選べばいいか」といった具体的な質問にも対応し、競馬用語に詳しくなくても使える設計となった。
さらに「本命AI」「穴党AI」「サンスポ記者予想AI」という三つのキャラクターを用意し、異なる視点の比較を可能にしている。
開発過程では、リアルタイム更新情報を学習して回答に反映する仕組みで特許も取得したといい、今後はアンケートや利用データを踏まえて機能を拡充していく見通しだ。
初心者の裾野拡大に期待 一方でAI依存のリスクも
ChatKeibaの導入により、競馬体験への敷居が低くなるかもしれない。これは、競馬新聞の読み解きに慣れていない層でも、会話形式で情報を得られるためだ。
AIキャラクターによる説明は、初心者が競馬を理解する助けになると考えられる。
一方で、AI予想への依存が強まる懸念も否定できない。無料で高精度な分析が提供されるほど、利用者が自ら考える過程を省略してしまう恐れがある。競馬は不確実性を楽しむ要素が大きく、AIの提示を絶対視しない姿勢が求められるだろう。
メディアが保有する知見をAIとして再構築する動きは、他分野にも波及する可能性があり、情報提供の形を変える試金石になりそうだ。











