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    富士通が国際偽情報対策網を創設 AI悪用リスクに57社で立ち向かう

    2025年12月2日、富士通は生成AIを悪用した偽情報の拡散に対応するため、国際コンソーシアムを立ち上げたと発表した。日本、欧州、北米、インドなど計57社・組織が参加し、産業横断で対策技術の実装と活用を進める枠組みとなる。

    目次

    偽情報対策を国際連携で強化 多国籍57社が共同で基盤構築へ

    Frontriaには、みずほフィナンシャルグループ、明治安田生命、LINEヤフー、オールアバウトのほか、イタリア大手銀インテーザ・サンパオロ、米ウーバーAIソリューションズなど、業界も地域も多岐にわたる組織が参画した。
    金融、メディア、AI企業が同時に参加する枠組みは世界でも珍しく、国際的な偽情報対策コンソーシアムとしてはほぼ前例がないとされる。

    背景には、生成AIを悪用した「ディープフェイク(※)」や偽動画の大量拡散がある。なりすまし詐欺やブランド毀損に直結する被害が増え、企業側の対応だけでは限界が見え始めている。
    富士通はこれまでも真偽判定技術やフェイク動画検知の研究を進めてきたが、今回、産業横断型の共創体制に踏み切った。

    同コンソーシアムは2026年度中に参加社数を100超へ拡大する計画で、メディアのファクトチェック基盤、金融犯罪を防ぐデジタル監視、本人詐称の早期検知など多領域での活用を見込む。

    ※ディープフェイク:生成AIを用いて人物の顔や音声を高度に偽装する技術。なりすまし詐欺や偽情報拡散に悪用されやすく、国際的な対策強化が課題となっている。

    偽情報対策市場は拡大局面へ 共同基盤の利点と国際連携の課題

    富士通が主導する国際コンソーシアムの始動は、偽情報対策が単なるセキュリティ領域を超え、新たな産業として成長する可能性を示す動きと言える。
    複数企業が同じ基盤を使うことで、対策技術の標準化が進み、導入コストを下げられる点は大きな利点だろう。また、金融機関やメディアが早期に成果を共有すれば、商用レベルの検知精度が短期間で実現する可能性がある。

    一方で、国や産業ごとに異なるプライバシー規制やデータ活用ルールを調整する必要があるため、国際協調の難度は高いだろう。
    また、企業間でどこまでデータ共有を進められるのか、技術の透明性をどう担保するのかといった課題も依然として残りそうだ。
    さらに、偽情報生成技術も同時に進化しており、防御と攻撃が拮抗する「終わりのない更新」が続く点もリスクになりうる。

    現在の情勢において偽情報対策は企業の信用維持だけでなく、金融インフラの安全性や選挙の健全性にも関わる領域であるため、グローバルでの協力体制が不可欠だ。

    富士通は今後も共創を通じて商用化を加速させ、AI安全市場の主導権を確保する構えである。

    偽・誤情報や新たなAIリスクに対応する国際コンソーシアム「Frontria」を創立

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