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    EU、SNSとAIの利用年齢を16歳に統一要請 未成年保護で議会が政治的声明

    2025年11月26日、欧州議会はソーシャルメディアや対話型AIの利用年齢をEU全域で16歳に統一するよう求める決議を採択した。ロイターが報じたもので、法的拘束力はないが、未成年のオンライン利用に新たな基準を示す政治的メッセージとなる。

    目次

    欧州議会、SNSとAIの利用年齢を「16歳」に統一要請

    欧州議会は、SNSや動画共有サイト、AIチャットサービスへのアクセス年齢をEU域内で16歳に統一するよう求める決議を可決した。年齢相応のオンライン関与を確保することが目的で、議員らは13〜16歳について保護者同意の上での利用を認め、13歳未満は一律で禁止する枠組みを示した。

    決議は政治的声明であり法的効力は持たないが、未成年保護に対する議会の立場を明確にしたと言える。

    現在、EUのデジタルサービス法(DSA ※)が巨大プラットフォームを規制しているが、最低利用年齢の設定は加盟国ごとに異なる。こうした不統一が利用者保護の実効性を損ねているとの見方があり、今回の決議はその課題を是正する狙いがあるとみられる。

    背景には、依存性を誘発するデザインや誤解を招く広告が子どもに与える影響を懸念する声が高まっている事が含まれる。

    過去にはイーロン・マスク氏が運営するXや、中国発のTikTokは過去にDSA違反の疑いで正式調査を受けており、巨大サービスの透明性と安全性が継続的に問われている。

    ※DSA(デジタルサービス法):EUが巨大プラットフォームに透明性向上や違法コンテンツ対策を義務付ける包括的IT規制。

    年齢統一の波紋 安全性向上と格差リスクの両面が浮上

    EU全域で利用年齢が統一されれば、未成年保護の基準が明確になり、SNSやAIサービスが持つリスクを抑制する効果が期待される。特に、依存性を高めるUI設計や過度なレコメンドを抑える環境が整い、心理的影響を軽減できる可能性がある。プラットフォーム側も年齢確認や広告表示に一貫した基準を適用しやすくなり、運用の透明性は向上するだろう。

    一方で、13〜16歳の利用を保護者同意に限定する仕組みは、家庭ごとの事情によってアクセス格差を拡大させる懸念もある。デジタル学習が進む中で、利用制限が教育やスキル習得の障壁となる可能性も指摘される。また、企業側にとっては年齢確認の導入やデザイン修正が新たな負担となり、開発スピードの低下を招くリスクが残る。

    今回の決議は法的拘束力を持たないものの、欧州委員会が正式に法案化へ動けば、国際的な規制議論に影響を及ぼす可能性が高い。

    今回の採決でEUが世界標準となる未成年保護ルールを主導する展開もあり得るが、過度な規制が利用者の流出やプラットフォームの競争力低下につながる懸念も否定できない。SNSとAIが社会基盤となる中で、年齢制限の在り方は今後も激しい議論を呼ぶと見られる。

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