楽天トラベルがクチコミ機能刷新 AI要約と投稿強化で宿泊選びを高度化へ

2024年11月26日、楽天グループは日本国内向け旅行予約サービス「楽天トラベル」で、クチコミ機能「お客さまの声」を大幅リニューアルしたと発表した。投稿者情報の拡充に加え、2026年初旬からAIによる要約や絞り込み提案、動画投稿対応などを順次導入する。
投稿者情報拡充とAI活用でクチコミ精度を強化
楽天トラベルは、宿泊選びの基礎データとなる「お客さまの声」をリニューアルした。投稿者のプロフィールページが新設され、過去の投稿一覧や獲得した「いいね」数、さらに楽天のショッピングSNS「ROOM」や外部SNSのリンクを確認できるようになった。旅行者は、自分と旅行スタイルが近い投稿者を探しやすくなり、情報の信頼度を判断しやすくなると言える。
また、評価項目は既存の6項目に「清潔さ」が加わり、食事は「朝食」と「夕食」に分割された。これにより、宿泊体験をより細かい視点で可視化できる仕組みへと進化した。
2026年からはAIの導入が進み、長文クチコミの自動要約や、ユーザーの嗜好に沿った絞り込み条件の提案が実装される予定だ。
投稿プロセスの簡略化も強化され、総合点を入力するだけで各項目に点数が自動反映される仕組みを採用。宿泊後にはアプリ上のポップアップで投稿を促し、クチコミ数の底上げも狙う。また、ホテル検索に特化したAIエージェント「楽天トラベルAIホテル探索」との連携も進め、検索から投稿までを一体化させる方向性を打ち出した。
AIで利便性は向上も偏りの懸念 クチコミ基盤の成熟が鍵
今回のリニューアルで、AI要約により大量のクチコミを短時間で把握できるようになり、ユーザー体験の質を大きく押し上げるだろう。また、プロフィール情報の拡充も信頼できる投稿を見つけやすくする効果を持つ。動画投稿の導入は、従来の写真や文章では伝わりにくかった施設の雰囲気を補完し、判断材料の精度をさらに引き上げると期待される。
一方で、AIが生成する要約に依存しすぎることで、特定の観点が過度に強調される可能性がある。また、人気投稿者や動画を多く投稿するユーザーの意見が相対的に目立ち、情報の偏在が生じる懸念は依然として残る。AIが示す絞り込み条件も、最適化が進むほどユーザーの選択肢を狭める作用が働く可能性があり、そのバランスが問われる局面になるだろう。
また、投稿プロセスの簡略化は投稿数増加のメリットがある一方で、詳細なレビューが減るリスクもある。
旅行の価値は個々の体験の差異に依存するため、量と質の両立が欠かせない。楽天がどこまでレビューの質を維持し、AIとユーザー投稿のバランスを調整できるかが、プラットフォームの信頼性を左右すると言えるだろう。
AIエージェントとの連携を含め、クチコミ基盤をどこまで精緻化できるかが、今後の差別化ポイントになると見られる。
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