日立ソリューションズ、AI活用DDoS対策を提供 Radwareと連携

2025年11月12日、株式会社日立ソリューションズは米Radware社と販売代理店契約を締結し、DDoS攻撃対策に特化したクラウドサービス「Cloud Application Protection Service」を13日から提供開始すると発表した。AIが攻撃を即時検知・防御する仕組みを特徴とする。
AIが即時防御 ゼロデイ攻撃にも対応するDDoS対策
日立ソリューションズが提供する「Cloud Application Protection Service」は、AIを活用したクラウド型DDoS(分散型サービス妨害)攻撃対策サービスである。
未知の脆弱性を突く「ゼロデイWeb DDoS攻撃」なども含め、多様な攻撃に対応可能だ。
AIは通常通信と異常通信を自動で判別し、攻撃を検知すると数秒で防御用のシグネチャ(攻撃を識別するルール)を生成する。これによりサービス停止リスクを最小化できる。
また、AIは通信量に応じた「しきい値」を自動調整し、セキュリティポリシーを最適化するため、システム担当者の運用負荷も軽減される。
Radwareのスクラビングセンター24拠点を活用することで、攻撃の発生源に近い拠点や複数拠点で分散防御を実施し、通信遅延や負荷を抑えつつ防御が可能だ。
さらに、Radwareは定期的にセキュリティポリシーの見直しをサポートするため、平常時の運用効率も向上する。
日立ソリューションズはクラウドに加え、Radware製ハードウェア版DDoS対策製品の取り扱いも推進する方針である。
AI防御の波及効果と課題 運用効率化とリスク管理の両立
AIによる自動防御の導入は、企業のセキュリティ運用を大きく効率化するだろう。
攻撃検知から防御開始までを自動化することで、従来必要だった手動対応や監視業務の負荷を削減できる点は、中小規模企業にとっても大きなメリットだと考えられる。
また、ゼロデイ攻撃など未知の脅威にも即応できるため、事業継続性の向上にも寄与するとみられる。
一方で、AI防御には課題も存在する。誤検知による正常通信の遮断や、学習データ依存による検知精度の偏りは依然リスクとして残るだろう。
複数企業がクラウド基盤を共有する場合、誤検知が他社サービスに波及する可能性もある。
日立ソリューションズは今後、ホワイトハッカーを含む専門家による「サイバーレジリエンスソリューション」との併用で、AI防御の精度と運用監視のバランスを保つ方針だ。
AIによるリアルタイム防御は、企業セキュリティの新たな標準となりつつあるが、その運用体制の最適化が今後の鍵となるだろう。
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