豊橋信用金庫、AIでATM特殊詐欺防止強化へ 内蔵カメラでスマホ使用を感知

2025年10月24日、愛知県の豊橋信用金庫が、ATM内蔵カメラを活用したAI画像検知システムの運用を開始した。
利用者が携帯電話やスマートフォンを操作しながらATMを使う動作をAIが検知し、詐欺の疑いがある場合に取引を自動停止する仕組みだ。
AIが「不自然な操作」を検知し取引中止 地域金融機関が防犯強化
豊橋信用金庫は、ATMに搭載されたカメラ映像をAIが解析し、利用者の行動から特殊詐欺の兆候を検知する新システムを導入した。ATM利用者が携帯電話やスマートフォンを操作しながらの取引を検出すると、詐欺の可能性が高いと判断し、振込処理を中止する。
この仕組みは、振り込め詐欺の典型的な手口に対応するものだ。
犯人が被害者に電話でATM操作を指示し、送金させるケースが全国で多発している。従来、職員が窓口で声かけを行うなどの対応が取られてきたが、AIがリアルタイムで監視・制御することで、ATM振込における特殊詐欺防止対策を実現するとしている。
AI防犯の普及に期待と課題 誤検知リスクと地域展開の行方
AIが人の代わりにATM操作の監視を担うことで、迅速な対応が可能になり、職員の負担軽減にもつながる点は大きな利点だろう。特に高齢者を狙う詐欺に対しては、AIが“最後の砦”となる可能性もある。
一方で、AIの誤検知による取引停止や、カメラ映像を利用することへの心理的抵抗など、運用上の課題も残りそうだ。利用者の理解を得ながら、AIの判断精度を継続的に高めていく必要があるだろう。
少子高齢化が進み、人手による見守りが難しくなるなかで、AIを防犯の一部として定着させる流れは加速する公算が大きい。
豊橋信用金庫の挑戦は、金融とAIが融合する新たな地域防犯モデルの実証であるとも言える。
今後の運用結果次第では、全国の金融機関にとって重要な転換点となるかもしれない。
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