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    レクサス「LC PINNACLE」にAI刺繍 クラフトと先端技術が交差

    2025年11月5日、タジマ工業はレクサスのフラッグシップクーペ『LC』特別仕様車「PINNACLE」に、自社のAI刺繍技術を用いたグラデーション刺繍が採用されたと発表した。

    自動車内装領域での刺繍表現の高度化が進む。

    目次

    助手席パネルに自然の情景を繊細に表現した刺繍を採用

    今回の特別仕様車「PINNACLE」では、助手席インストルメントパネルにタジマ工業のグラデーション刺繍が施されている。繊細な糸の重なりが特徴で、自然の情景から着想を得たデザインを、内装全体の落ち着いた質感に溶け込ませている。

    この刺繍は、デザイナーとともに約2年をかけて開発された。

    耐候試験など自動車特有の厳しい条件下においても高品質を維持し、意匠性と安全性の両立を実現している。

    レクサスとタジマそれぞれの知見と価値観を融合させることで、業界を超えたイノベーションにつなげた。

    刺繍技術には、タジマ独自のAI刺繍機と、その制御を行うi-TM(Intelligent Thread Management)およびDCP(Digitally Controlled Presser foot)技術が活用されている。

    糸張力や布押え圧を縫いごとに自動調整し、均一な仕上がりと生産効率を両立させた点が今回の取り組みの中核となる。

    高級車の体験価値を左右する「質感競争」の新局面へ

    刺繍技術の高度化は、単なる装飾強化に留まらず、高級車市場における体験価値の差別化に直結する可能性がある。

    電動化とデジタル化が進む中、走行性能やパワートレインの特徴だけではブランドの個性が示しにくい状況が強まっている中で、内装に個性を持たせ差別化を図った格好と言える。

    今回の取り組みでは、乗員が直接触れ、視線に入る内装仕立ての細部が「所有する楽しさ」を左右する要素として付加価値を提供するだろう。

    一方で、AI刺繍は高い生産コストや設計工程の複雑性を伴うとみられ、広範な車種展開には課題も残る。特にミドルセグメント以下への展開にはコスト構造の最適化が不可欠だと考えられる。
    ただし、ブランド世界観を深く体験できる限定モデルやビスポーク(特注)領域では、ユーザーの許容度は高いとみられる。

    今回の「PINNACLE」における採用は、質感競争が次のフェーズへ向かう象徴といえる。

    今後、他社が追随するか、または日本発の内装加飾技術が国際高級車市場で地位を高める契機となるかが注目点となる。

    タジマ工業株式会社 プレスリリース

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