さくらインターネット、企業の生成AI活用を総合支援 国内完結型「さくらのAIソリューション」始動

2025年10月30日、さくらインターネット株式会社は、国内データセンターを基盤とした生成AI業務支援サービス「さくらのAIソリューション」を提供開始した。企業の生成AI導入を企画段階から運用まで一貫して支援する。
国内データセンター完結でAI活用を一元支援 多様な業務パッケージを提供
さくらインターネットが開始した「さくらのAIソリューション」は、企業が生成AIを安全かつ効果的に導入できるよう、コンサルティングから運用サポートまでを一体化した総合支援サービスである。
クラウド基盤には、同社の高性能GPU環境「高火力(※)」を採用。これにより、大規模なAI演算を安定的に処理するとともに、アプリケーションごとに専有GPUを確保することで、高度なセキュリティ運用を実現するという。
提供される生成AIパッケージは、社内チャット構築やプログラム開発支援、音声認識・文字起こしなど幅広い業務領域に対応する。これらは、さくらインターネットが他社と連携して開発したものである。
利用料金は月額固定制を採用し、初期コストを抑えつつ計画的な導入を支援する。
試験導入(PoC)やパートナー企業との連携支援も用意されており、顧客の実運用段階まで伴走する体制が整えられている。
※高火力:さくらインターネットが提供する高性能GPUクラウド基盤。生成AIや機械学習など大規模演算処理に特化している。
国産クラウドによる生成AI支援が拡大へ 企業の内製化促進と課題解決の両面
今回の「さくらのAIソリューション」は、生成AIを自社業務に取り入れたいが、コストや技術面の壁で導入をためらう企業にとって有力な選択肢となるだろう。
専有GPUによる安定稼働と月額固定料金は、予算を明確化しやすい点で中堅企業にも導入しやすい設計だと言える。また、国内データセンター完結という構成は、近年強まる「データ主権(※)」の確立という社会的要請にも応え得る。
一方で、生成AIの性能や精度は使用モデルに依存するため、導入効果を最大化するには継続的なチューニングが欠かせないと予測できる。特定業務への最適化には時間と人的リソースを要する可能性があるため、AI人材の育成や運用ノウハウの蓄積が今後の課題となるだろう。
それでも、国産クラウド事業者が包括的なAI支援を提供する動きは、海外クラウド依存からの転換を後押しする可能性がある。
さくらインターネットの取り組みは、その転換点を象徴する事例となるだろう。
※データ主権:企業や個人が、自国の法制度に基づいてデータを管理・保護できる権利や体制を指す。
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