いわき市、行政窓口でAI通訳システム実証へ 手話と音声の双方をAIが文字化

2025年10月28日、福島県いわき市は、AI技術を用いて手話と音声を即時に文字化するシステムの実証実験を11月にも開始すると発表した。
手話通訳者が不在でも、耳が不自由な市民と職員がスムーズに意思疎通できる環境を整える狙いだ。
いわき市、AI通訳システムで障がい福祉課に実証導入
いわき市は、ソフトバンクなどが開発したAIシステム「Sure Talk(シュアトーク)」を用い、手話と職員の言葉を文章化する実証実験を11月から約3カ月間実施する。
今回の実証は、耳が不自由な市民の来庁が多い障がい福祉課の窓口で行われる。
期間中は専任の手話通訳者が同席し、AIによる手話認識の精度や変換速度、実務上の有効性を確認する。
市は実証結果次第で、他部署への導入も検討する方針を示している。
AI通訳が拓く包摂行政 精度と信頼の両立が課題に
AIによる手話通訳の実装は、行政サービスのアクセシビリティ(※)を高める革新的な取り組みであると言える。
通訳者に依存しない対応が可能となれば、聴覚障がい者がより自立的に行政窓口を利用できるようになり、地域格差の是正にも寄与すると見込まれる。
しかし、AIの認識精度や文脈理解には限界がある。
特に手話は、表情や動きの微妙なニュアンスに意味が宿ることもあるため、単語変換の精度が高くても「意図の読み違い」が起こるリスクはあるだろう。
また、AIが映像を解析する以上、個人情報やプライバシー保護の体制づくりも欠かせない。
将来的には、自治体ごとの表現差や、方言に対応できる地域特化型AIへの発展も期待される。
今後AI通訳は人の代替ではなく、人に寄り添う補助技術として、包摂社会を支えるインフラとなるかもしれない。
※アクセシビリティ:障がいの有無や言語能力にかかわらず、誰もが情報やサービスを等しく利用できる状態を指す。
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