日立システムズ、営業支援AIを提供開始 生成AIで業務効率と提案力を強化

2025年10月22日、日立システムズはフロントラインワーカーの生産性向上を支援するアシスタントAIシリーズの第2弾として「営業向けアシスタントAI」を提供開始した。
マイクロソフトのAzure OpenAI Serviceを活用し、営業資料や提案文書の作成を支援することで、営業活動の効率と質の向上を狙う。
営業資料から提案作成まで 日立システムズが営業支援AIを展開
日立システムズが発表した「営業向けアシスタントAI」は、生成AI技術と同社の業務ナレッジ(業務知識)を融合させた営業支援特化型サービスである。営業資料の作成、メール・テレマーケティング用スクリプトの生成といった定型業務を支援し、担当者の作業負担を軽減する。
同社はこれまで、公共・金融・産業など多様な分野で蓄積した業務ノウハウをもとに、業種ごとに最適化したAI活用を推進してきた。
今回の「営業向けアシスタントAI」では、事前の社内実証実験を通じて、営業担当者の作業時間を月平均50%削減する効果を確認したという。これを踏まえて正式サービス化に至った。
サービスの基盤にはマイクロソフトのAzure OpenAI Service(※)を採用。顧客企業のウェブサイト情報や商材データをもとに、AIが提案内容を生成する。営業活動の迅速化だけでなく、提案の的確性や説得力の向上も期待される。
日立システムズはすでに製造業向けアシスタントAIを展開しており、今後は健康データ分析やプロジェクト支援AIなど、他領域への拡張を計画している。
2027年度までにアシスタントAI関連事業で100億円規模の売上を目指す方針だ。
※Azure OpenAI Service:マイクロソフトが提供する生成AI基盤。OpenAIの大規模言語モデルを安全に企業システムへ統合できるクラウドサービス。
生成AIがもたらす営業改革 効率化の先に問われる“人の価値”
営業活動に生成AIを導入する最大の利点は、定型的な業務の自動化によって、人的リソースを創造的業務へ再配分できる点にあると考えられる。
提案書やメール作成などの負担が軽減されることで、担当者が顧客理解や課題解決に注力できるようになれば、結果として商談の質が向上し、売上拡大につながる可能性が高い。
一方で、AIが自動生成した内容の精度や信頼性をどう担保するかは課題になるだろう。
誤情報や不適切な提案が行われた場合、企業の信用リスクに直結しかねない。生成内容を人間がチェックする体制を前提としなければ、AI導入の効果は限定的になるはずだ。
また、AIが業務を代替するほど、営業担当者のスキル構造にも変化が生じるかもしれない。
本ツールは、人的リソースが単なる情報提供者から「顧客課題を的確に把握し、AIを活用して解決策を導く“戦略的営業人材”」への転換が求められる時代へ移行していく一段階と言える。
日立システムズの取り組みは、今後の営業DXの方向性を占う重要な目安となりそうだ。











