スズキ、DX戦略で全役員にAI資格取得必須化 昇進条件にも導入へ

2025年9月30日、スズキはDX戦略を発表し、2027年に全役員がAI資格を取得する方針を明らかにした。さらに2030年までには、役職者の昇進要件にAI技能を組み込み、全従業員のデジタル化を推進する方針である。
スズキ、昇格条件にAI資格を導入 役員も取得義務化
スズキは30日に発表した新たなDX戦略で、役員全員が2027年にAI資格を取得する目標を掲げた。さらに2030年までに、役職者の昇格条件にAI関連資格を組み込む方針を示し、全従業員をデジタルリテラシーの高い人材へと育成することを目指している。
同社は「業務のど真ん中にAIを活用する」と強調し、営業、設計、製造など幅広い分野での具体的な用途を検討している。進捗状況は四半期ごとに役員間で共有され、組織全体で推進力を高める仕組みを整備する。
具体的な資格としては、「G検定(※)」が例に挙げられている。2025年に実施された同検定の合格率は70〜80%台となっている。
近年は生産性向上におけるAIの役割が増大しており、専門人材の確保や社内教育の重要性が一層高まっている。他社の例としては、三菱商事も2027年度から管理職昇格にAI資格を条件とする計画が報じられており、同様の施策が産業界全体に広がる可能性がありそうだ。
※G検定:日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施するAI基礎知識検定。機械学習や深層学習の原理、活用事例などを幅広く問う。
AI義務化で生まれる格差と競争力 日本企業の分岐点となるか
スズキの決断は、経営層自らがAIを理解し活用する姿勢を示すものであり、企業文化を変革する力を持つかもしれない。
一方で、社員にとっては学習コストや負担の増大という課題も避けられない。特に中高年層にとっては、キャリア再設計を迫られる場面も増えるとみられる。
ただし、全社員のAIリテラシーが向上すれば、業務効率化や新規事業開発のスピードが加速することは確かだろう。さらに国際競争力の観点から、AIを専門家だけの領域にとどめず、組織全体の共通言語とすることは今後不可欠になると考えられる。
本件に他社が追随すれば、日本企業全体の人材戦略は大きな転換点を迎えることになりそうだ。
AI技能が「昇進の必須条件」となる未来は、スズキの一手によって現実のものになりつつあると言える。