生成AI活用で地域課題解決へ　岩手日報と4金融機関が連携し地方創生推進

2025年9月24日、岩手日報社と県内の主要金融機関が、生成AIを活用して地域の課題解決と活性化を図る連携協定を締結した。10月1日から始まる新サービスを軸に、人口減少など構造的な課題への取り組みが本格化する。

岩手日報と地銀4行が生成AIで地域課題に挑戦

岩手県で、生成AIを活用した地方創生の新たな動きが始まった。24日、盛岡市の岩手日報社で同社と岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、盛岡信用金庫が連携協定を締結し、地域課題の解決と活性化に向けた協力体制を構築することに合意した。

協定は、岩手日報社が10月1日に提供を開始する生成AIサービスに合わせて進められる。

新サービスは、同社が長年蓄積してきた過去のニュース記事を情報ソースとして活用するものだ。人口減少をはじめとした地域課題の解決に役立てる見込みである。

岩手銀行の岩山徹頭取は、調印式で「生成AIは地域や企業の課題解決の鍵になるもので、普及することにより地域活性化の起爆剤になる」と語り、取り組みへの期待を示した。

生成AIが導く地方創生の可能性とリスク

今回の連携は、人口減少や産業空洞化といった深刻な地域課題に対し、デジタル技術を本格導入する先進的な取り組みといえる。とりわけ、地元メディアが持つ知識資産と金融機関のネットワークを掛け合わせる点は独自性が高く、行政・企業・住民の連携による新たな地域活性化モデルとして注目される。

生成AIの最大のメリットは、膨大なデータをもとに迅速かつ的確な分析が可能な点にある。これにより、行政は政策立案の精度を高められ、企業は市場動向や消費者ニーズを把握した戦略策定ができるとみられる。

一方で、AIが出力する情報には誤りや偏りが含まれるリスクもある。現場の実情や地域特性を十分に反映できなければ、政策判断や企業戦略に誤導を生む恐れがあるため、AIの出力を「判断材料の一つ」として扱う運用設計が欠かせないだろう。また、データの管理体制や著作権の扱いといった法的・倫理的な課題も今後浮上する可能性がある。

それでも、生成AIは地域社会の意思決定や価値創造のプロセスを根本から変える力を持つと言える。

岩手発のこの取り組みが成果を上げれば、全国の地方自治体や企業にも波及し、「デジタル地方創生」という潮流を形成する起点となるだろう。