SB C&S、社員が自作AIエージェントを全社展開 GPT-5対応で高度業務にも

2025年9月11日、SB C&Sは社内AIチャットサービス「SB C&S AI CHAT」に新機能を追加し、社員が自身の業務に合わせたAIエージェントを作成できる仕組みを導入した。
SB C&S、社員がAIエージェントを作成・共有可能に
SB C&Sは、社内専用AIチャットサービス「SB C&S AI CHAT」に新たな機能を搭載し、社員が自らAIエージェントを設計・活用できる仕組みを導入した。
専用の設定画面から容易に作成でき、完成したエージェントは社内で公開・共有することも可能である。これにより、日々の業務プロセスを効率化し、部門横断的な活用も見込まれている。
同サービスは6月末時点で利用率95%を超えていた。さらに、8月にはOpenAIの最新モデル「GPT-5」(※)に対応し、複雑な推論やコード生成を含む高度な処理が可能となった。
AIの基盤強化と利用習慣の定着を背景に、今回の全社的な拡張に踏み切った格好だ。
また、社員がエージェントを正しく設計するため、オンライン学習プラットフォームの提供も開始された。
生成AIの基本原理や応用方法を体系的に学べる教材が用意されており、知識定着とスキル育成を支援している。
※GPT-5:米OpenAIが2025年に提供開始した大規模言語モデル。推論力やコード生成に優れ、従来より複雑な業務処理に対応可能とされる。
社員主導のAI活用が進展 効率化と創造性拡大も、統制が焦点か
今回の取り組みは、全社員が自らの業務に即したAIを設計し活用する点で画期的であると言える。
従来のトップダウン型IT導入とは異なり、現場が主体となることで、業務改善が加速する可能性がある。業務標準化や最適化、ナレッジ共有が進めば、組織全体の生産性向上につながるだろう。
一方で、社員が自由にAIを構築できる環境にはリスクも存在する。
誤った設定や不適切なデータ入力が広がり、業務フローに混乱を招く可能性があることは懸念材料だ。また、AI利用における統制やセキュリティ管理が十分でなければ、効率化の裏でリスクが拡大する可能性も否定できない。
将来的には、社内で開発されたエージェントが外部取引や顧客対応に活用される場面も考えられる。そうなれば、社員一人ひとりが「AI開発者」としての役割を担う動きは他社にも波及し、日本企業全体の働き方を変える契機になり得るだろう。