米一般調達局がChatGPT・Gemini・Claudeを承認 連邦政府の生成AI利用が加速

2025年8月5日、米一般調達局(GSA)は、オープンAIの「ChatGPT」、グーグルの「Gemini」、アンソロピックの「Claude」を連邦政府が契約可能な生成AIモデルとして正式に承認したと発表した。米政府機関のAI活用が新段階に入る。
GSAが主要生成AIを政府契約に承認 トランプ政権のAI規制緩和と連動
米一般調達局(GSA)は5日、連邦政府が契約可能な生成AIモデルとして、オープンAIの「ChatGPT」、グーグルの「Gemini」、アンソロピックの「Claude」を正式に承認したことを公表した。これにより、政府機関はこれらのAIを契約条件の整ったプラットフォーム上で安全に利用可能となる。
今回の承認は、7月23日にトランプ政権が発表したAI規制緩和策の一環である。トランプ大統領はAIを巡る競争が21世紀を決定づける戦いになると位置付け、中国に対抗するため同盟国への技術輸出拡大を狙う方針を示している。
GSAは、承認にあたり「真実性、正確性、透明性、イデオロギー的偏りの排除」を重視し、選定した生成AIモデルの活用範囲を「大規模言語モデル(LLM ※)による簡単な研究補助から、高度にカスタマイズされたミッション固有のアプリケーションに至るまでの幅広いAIソリューション」と説明した。
※大規模言語モデル(LLM):膨大な文章データを学習し、人間の言葉を理解・生成するAIの一種。質問応答や文章作成、翻訳など多様な言語処理を行う技術。ChatGPTやGeminiが代表例。
生成AIの政府導入拡大がもたらす期待と課題
生成AIの政府利用は行政効率化や意思決定の質向上に大きく寄与すると期待される。たとえば、文書作成の自動化や大量データの解析支援、住民対応のチャットボット導入など、多様な分野で活用が見込まれる。これにより業務負荷軽減や迅速な政策対応が実現し、公共サービスの質的向上が進む可能性がある。
一方でリスクも無視できない。AIが生成する情報の真偽や偏り、誤情報混入の可能性は、政策決定に直接影響するため厳格な検証が求められる。
さらに、AI導入に伴う倫理的・法的問題の整備も不可欠だ。透明性の確保や説明責任、偏り除去の技術的対策が政府の信頼維持に直結する。
米国の今回の承認は、技術革新と地政学的競争の両面から進められており、今後は他国や民間との連携強化とリスク管理が重要になるだろう。
総じて、生成AIは公共行政の新たなパラダイムを切り拓く一方で、慎重な運用と制度設計が政府AI活用の成否を左右する要因となる。