サイボウズ、kintone AIラボでAIが業務プロセス設計を支援

2025年7月14日、サイボウズ株式会社は、業務アプリ作成クラウド「kintone」のAI活用を支援する「kintone AIラボ」において、AIによる業務フロー支援機能「プロセス管理設定AI」の提供を7月13日から開始したと発表した。日本国内での提供で、対話形式により非エンジニアでも設定が可能となる。
kintoneにAI対話型のプロセス設計支援機能を追加
サイボウズは14日、「kintone AIラボ」にて新機能「プロセス管理設定AI」の提供を始めたと発表した。同ラボはkintoneとAIを連携させた機能を無償で試験提供する枠組みであり、今回の機能もβ版として公開されている。
「プロセス管理設定AI」は、業務フローの設計・設定に不慣れなユーザーを対象に、AIが対話形式で設定完了までを支援するもの。kintoneの「プロセス管理」設定画面上で利用でき、例えばユーザーが「申請後に上司承認を挟みたい」などと自然な言葉で入力すると、AIが一般的な業務設計の考え方に基づいて適切なフローを提案する。
さらに、AIはkintone内のフォーム構造を自動で解析し、業務に適した整合性の取れたプロセス案を提示。提案は視覚的なフロー図で確認でき、細かい要望にも対話形式で柔軟に対応できる点が特徴だ。AIが提示する設定は、ユーザーの操作1つでそのまま設定画面に反映可能で、設定作業の工数も大幅に削減されるという。
業務改善の民主化進む一方、AI依存の懸念も
プロセス管理設定AIの登場により、これまでIT部門や一部のエンジニアに依存していた業務フローの構築が、現場の担当者でも可能となる。これは業務改善のスピードを飛躍的に高める要素となりうるだろう。
特に、日常的に業務の見直しが求められるバックオフィス部門や、頻繁にフロー変更が発生するプロジェクトチームにとっては、現場主導での迅速な改善が期待でき、大きなメリットを享受できるだろう。対話形式でAIが設定を補助することにより、試行錯誤しながら理想の業務設計に近づける柔軟性も評価できる。
一方で、AIが提案するフローに対して、ユーザーが十分な理解を持たないまま導入するリスクも無視できない。AIは一般的な業務設計の知見を活用するが、組織ごとの固有事情や例外処理には対応しきれないケースも想定される。
また、AI活用により属人的な設計作業が減少する一方で、ユーザーが業務設計のスキルを習得する機会が減少する可能性もある。結果として、AIの提案に依存しすぎると業務改善の質が頭打ちになるリスクがあるといえる。
AIを補助ツールとしてうまく活用しつつ、従来通りの人材の教育も併せて行うことが求められるだろう。
今後は、AIとユーザーが協働する形で最適な業務フローを実現する運用体制が求められる。サイボウズが今後どこまで提案精度やカスタマイズ性を高められるかが、企業現場での定着を左右する鍵になりうる。