コインベース、Coinbase Payments始動 Shopifyでステーブルコイン決済

2025年6月18日、米大手暗号資産取引所コインベースが、新たな決済ソリューション「Coinbase Payments」の提供を開始した。Shopifyと連携し、USDCによる24時間対応の即時決済を実現。グローバル商取引の在り方が大きく変わる可能性がある。
ShopifyでUSDC決済開始 即時・低コストのグローバル商取引に道筋
コインベースは、2025年6月18日に「Coinbase Payments(コインベース・ペイメンツ)」を発表し、Eコマース大手Shopify上で稼働を開始した。
同サービスはイーサリアムのレイヤー2(L2)ネットワークである「Base(ベース)」を基盤としており、ステーブルコインUSDCによる即時・安全・低コストの決済を可能にしている。
Coinbase Paymentsは3層構造で設計されている。
消費者向けにはウォレット連携によるガス代不要の決済機能、加盟店向けには返金・請求・台帳管理などを統合したAPIレイヤー(※1)、そしてオンチェーンではエスクロー(※2)や定期課金に対応したスマートコントラクト(※3)がそれぞれ機能する。
これにより、Web3技術に不慣れな事業者でも簡便にステーブルコインを決済に導入できる構造となっている。
発表直後、コインベースの株価は16%上昇し、USDC発行元であるサークル社の株価も25%の急騰を記録した。特にサークル社は、2週間前のIPO直後から関心を集めていたため、今回の商用展開が追い風となった格好だ。
なお、2024年のステーブルコイン決済処理額は30兆ドルに達し、前年比3倍という成長を見せている。
※1:APIレイヤー
アプリケーションと他のシステムとの間で、データや機能をやり取りする「窓口・仲介役」となる層
※2:エスクロー
取引の安全性を確保するために、第三者が一時的にお金や物を預かる仕組み
※3:スマートコントラクト
ブロックチェーン上で自動的に実行される契約プログラム
商取引の新インフラへ ステーブルコイン決済普及の鍵は「統合性」か
Coinbase Paymentsは、ステーブルコイン決済が抱えてきた課題「ツールの断片化、技術的負担、信頼性の欠如」に正面から向き合うプロダクトである。
加盟店にとって重要なのは、決済の導入にあたってブロックチェーン知識を必要としない手軽さであるため、API一つで既存システムへ統合可能な仕様は実用性に優れているといえる。
また、複数ウォレットへの対応やガス代不要といったUX改善がなされているため、消費者の日常的なオンライン購入における選択肢としても、十分に機能する可能性がある。
Web3決済の「壁」は一気に低くなったと見てよいだろう。
もっとも、ステーブルコイン決済が真に一般化するには、法規制や為替リスクといったマクロ的課題も残されている。また、USDCの安定性やスマートコントラクトの脆弱性に対する懸念も消えたわけではない。
とはいえ、Shopifyのような既存コマースと連携し、24時間グローバル対応の資金移動を可能にする基盤は、既存の銀行決済を超えるポテンシャルを秘めている。
コインベースが次に狙うとされるトークン化証券取引の構想と併せ、金融とコマースの融合が加速するか、引き続き注視したい。