村上隆率いるカイカイキキ支援、弟子・Mr.のNFTプロジェクト「AKIBAHARA TOKYOU」が6月20日ミント開始

2025年6月9日までに、現代美術家・村上隆氏がX上で、弟子であるMr.氏のNFTプロジェクト「AKIBAHARA TOKYOU(アキバハラトウキョウ)」が公開予定であると投稿した。
AIとNFTが融合、1万体のアバターが対話可能に
「AKIBAHARA TOKYOU」は、現代アーティストのMr.氏が手がけるNFTプロジェクトであり、物語の舞台は「ネコニャン」という架空の惑星に存在する東京の一都市「アキバハラ」だ。
このプロジェクトでは、AIアバターの“種”となるNFTが1万体鋳造され、アバターそれぞれが名前、性格、気分、記憶といった独自の個性を持つとされている。ユーザーとの会話を通じて記憶を蓄積するアバターや、感情的な応答を返すアバターなども存在するという。
技術的には、これらのNFTはイーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上でERC-721規格(※)に準拠して発行される予定だ。NFTのミント開始は2025年6月20日を予定しており、NFTマーケットプレイスで取引可能。
村上隆氏が代表を務めるアートプロダクション「カイカイキキ」がこのプロジェクトを支援しているとのことで、同氏自身が手がける「MURAKAMI.FLOWERS」とは別の系統に属する取り組みである。
「AKIBAHARA TOKYOU」ではトークン報酬の配布などは行わず、あくまでアートとテクノロジーの融合体験に特化した設計となっている。
※ERC-721規格:イーサリアム上で発行されるNFTの代表的な規格で、各トークンが一意の性質を持ち、代替不可能な性質を保証する。
NFTとAIの融合体験がもたらす新たな市場価値と課題
「AKIBAHARA TOKYOU」が注目を集める背景には、NFTアートが単なる“所有”から“対話型体験”へと進化している点がある。従来のNFTは静的な画像や音声データが中心だったが、今作ではAIとの対話機能が付与されており、ユーザーとのインタラクションによってアバターが“成長”する設計となっている。
このようなアプローチは、エンタメ、教育、カスタマーサポートなど幅広い分野への応用が期待されると同時に、NFTの実用性に対する懐疑的な声にも一石を投じる。特にAIの進化とWeb3技術の統合は、アートの文脈だけでなくデジタルアイデンティティのあり方にも影響を与える可能性がある。
一方で、懸念点もある。プロジェクトが報酬配布を行わないという方針から、一部の投資志向のユーザーにとっては魅力が薄れる可能性がある。また、アバターの対話品質や継続的な運用体制も長期的な評価に大きく関わると考えられる。
現時点での価格や販売方法の詳細は発表されていないが、村上隆氏およびカイカイキキの関与がブランド力として機能するかが試される局面にある。
AIとNFTの融合という新たな試みに目が離せない。
AKIBAHARA TOKYOU:https://akibaharatokyou.kaikaikiki.com/