2026年10月15日、千葉県長生村は、ティファナ・ドットコムが提供する「AI電話対応さくらさん」の運用を開始する。大規模イベント開催時に予想される電話問い合わせの急増に備え、24時間の自動音声応答とSMSによる情報提供を組み合わせ、来場者の利便性向上と職員の業務負担軽減を目指す。
長生村がAI電話窓口を開設 24時間応答とSMSで案内
長生村では、全国から多数の来場者が訪れる大規模イベントの開催に伴い、役場への問い合わせが集中すると見込まれている。主な内容は、会場へのアクセス方法や駐車場情報、イベントのタイムスケジュール、関連企画などだ。従来の電話対応体制では職員の負担が増大し、通常の窓口業務や住民対応に影響する懸念があった。
こうした課題に対応するため、村はティファナ・ドットコムのAI電話対応さくらさんを導入する。専用の050番号を窓口とし、高度な音声認識技術で利用者の質問を聞き取り、あらかじめ登録されたFAQに基づいて自動回答する仕組みだ。問い合わせへの対応をAIに振り分けることで、電話が集中する時間帯にも案内を提供できる体制を整える。
特徴の一つは、音声案内とSMSを連携させる点にある。電話だけでは伝えにくい公式ホームページや特設サイトのURLを、利用者の同意を得たうえでスマートフォンに送信する。イベント主催者が所管する問い合わせについても、音声やSMSを通じて適切な公式窓口へ案内する。
AIで回答できない質問や専門的な内容は、開庁時間内に限り、企画財政課や代表電話などの担当窓口へ転送する。すべての問い合わせをAIだけで完結させるのではなく、必要に応じて職員につなぐ設計である。
イベント後も通常業務に転用 自治体DXの持続性を検証
今回イベント対応のために構築した電話窓口は、一時的な利用で終わらない。イベント終了後の11月以降は、同じ電話番号と運用環境を維持したまま、役場の通常の問い合わせ窓口へ切り替える計画である。繁忙期に整備した仕組みを日常業務に転用することで、導入効果を継続的に生かす狙いがある。
さらに、通話履歴や対応ログを分析し、FAQの回答精度や対象範囲を継続的に改善する方針だ。イベント時に蓄積した問い合わせ傾向を通常業務にも反映できれば、住民が求める情報を把握し、案内の質を高めることにつながる。追加費用を抑えながら運用を拡張できるかどうかも、今後の評価ポイントとなる。
一方、導入による効果が現時点ですべて明らかになっているわけではない。応答率や対応件数などのKPIは、導入初月の実運用ログを基に村と協議して検証・設定する予定だ。問い合わせの集中をどこまで吸収できるかに加え、AIが回答できない質問の割合や、有人窓口への転送が円滑に機能するかも重要になる。
今回の事例は、AI導入を単なる電話対応の自動化にとどめず、繁忙期と平常時の両方で活用する自治体DXの試みといえる。実運用で得られるデータを基に、業務負担の軽減と住民サービスの向上を両立できるかが問われる。