ソフトバンク、AI制御基地局で脱炭素化 再エネ実証へ

2026年1月8日、ソフトバンク株式会社は、太陽光・風力の再生可能エネルギーによる自家発電型基地局の実証と、AIを活用した基地局のスリープ(Cell Sleep)を動的に制御するシステムの開発・導入を開始したと発表した。
再エネ自家発電型基地局は千葉県市原市で実証を開始し、AIによるスリープ制御システムは一部の基地局を対象に導入を始めた。
再エネ自家発電とAIで基地局の電力を最適化
8日、ソフトバンクは、通信インフラの脱炭素化を進める新たな施策として、再エネ自家発電型基地局の実証と、AIを活用した基地局のスリープ(Cell Sleep※)を動的に制御するシステムの導入を開始した。
発表によると、千葉県市原市で実証を開始した基地局では、太陽光と風力を組み合わせたハイブリッド発電により、使用電力の約3分の1を自家発電で賄う構成となっている。
この基地局は、太陽光と風力のハイブリッド対応により、天候や時間帯に左右されにくい持続的な発電を目指している。
風力発電向けには小型レンズ風車(3kW機)を採用し、ソフトバンクによると、3m/s程度の低風速でも高い発電効率を発揮し、同サイズの一般的な風車と比べて約2〜3倍の発電効率を実現するという。
停電時にも蓄電池により一定時間の自立稼働が可能で、電力が一時的に枯渇した場合でも太陽光や風力により自動的に再充電・再稼働できるとしている。
AIの分析により、通信品質を維持しながらスリープ対象セルを拡大できる見込みで、対象セルは約1万4,000セルから約2万4,000セルに拡大でき、年間で約500万kWhの消費電力削減を見込むとしている。
※スリープ制御(Cell Sleep):通信量が少ない時間帯に基地局の一部機能を低消費電力状態に移行させる技術。通信品質を保ちながら電力使用量を抑える。
通信インフラ脱炭素化の実装フェーズへ
本件のメリットとしては、ソフトバンクが通信品質を前提に、省電力と脱炭素を両立させる運用モデルを実装段階で検証し始めた点が挙げられるだろう。
再エネ自家発電とAIによるセルスリープ制御を組み合わせることで、安定運用と電力削減のトレードオフを設計で克服しようとする姿勢が明確になったと言える。
災害時の自立稼働を想定した冗長性も含め、通信インフラのレジリエンス向上につながる可能性がある。
一方、都市部では、用地確保に加えて騒音や景観への配慮が求められることから、導入に一定の制約が生じやすいと考えられる。
また、AI制御についても、トラフィックが急変した際に誤った判断を下すリスクを常に内包しているとみられる。
実証段階の成果を全国一律に適用することは難しく、エリアごとの特性を前提とした調整コストが課題として残るだろう。
今後の展望としては、実証結果を基にした標準モデルの確立が焦点になりそうだ。
再エネ構成比やスリープ制御の閾値を類型化し、地域別に最適化できる枠組みが整えば、展開スピードは高まるとみられる。
将来的には電力データと通信需要予測の連携が進み、需給調整や系統連携へ発展する可能性も想定できそうだ。
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