日本デジタル分散型金融協会、設立を公表 暗号資産交換業・銀行・証券が横断連携へ

国内の暗号資産交換業や銀行、証券会社などが参加予定の一般社団法人日本デジタル分散型金融協会は、2025年12月1日に設立したと発表した。
デジタル分散型金融を巡る業態横断の意見集約と提言を通じ、市場の健全な発展に寄与する方針だ。
日本デジタル分散型金融協会が発足、業態横断の意見集約を推進
24日、一般社団法人日本デジタル分散型金融協会は、2025年12月1日付で東京都千代田区に設立したことを発表した。
暗号資産、セキュリティトークン、ステーブルコイン、DeFi(※)など、ブロックチェーン技術を基盤とする金融分野を対象に、暗号資産交換業、銀行、証券会社、資産運用会社、信託銀行といった業態を横断した意見集約と提言を行う業界団体である。
代表理事には、KPMGジャパンでWeb3.0推進支援を担う保木健次氏と、暗号資産交換業を手がけるビットバンク株式会社代表取締役社長CEOの廣末紀之氏が就任した。
理事には野村證券株式会社常務の池田肇氏が名を連ね、監事には弁護士法人片岡総合法律事務所の佐野史明氏が就く。
会員には、SBI証券、GMOコイン、ソニー銀行、三菱UFJ信託銀行など、金融・暗号資産分野の主要企業が参加予定とされる。
協会では、暗号資産ETF、DeFi、ステーブルコイン、ノンカストディアルウォレット、セキュリティトークン/RWAといったテーマ別分科会の設置を予定しており、勉強会の開催や会員規則の策定を通じて、利用者保護と市場整備の両立を図る方針だ。
※DeFi:分散型金融。ブロックチェーン上で仲介者を介さずに金融取引を行う仕組み。
制度形成の「補助線」を引けるか
日本デジタル分散型金融協会の設立がもたらす最大のメリットは、暗号資産交換業、銀行、証券といった規制体系の異なる業態が、実務レベルで横断的に議論できる場を得た点にあるとみられる。
これまで個別に語られがちだった暗号資産、ステーブルコイン、セキュリティトークン、DeFiといった論点を、制度全体の文脈で整理できれば、政策形成に現場視点を反映させる余地がある。
一方で、業態間の前提条件の違いは、調整コストとして立ちはだかるとみられる。
適用法令やリスク管理の考え方が異なる以上、特にDeFiやノンカストディアル領域では、既存金融の責任モデルとの間で認識のずれが生じやすい状況が想定できる。
合意形成が抽象論に傾いた場合、提言の実効性が薄れる恐れもある。
今後の焦点は、協会が制度議論に対し、どこまで具体的な「補助線」を引けるかに移るとみられる。
分科会を通じて論点整理が積み重なり、ETFやステーブルコイン、RWAといった分野で実務に即した提案が提示されれば、行政側にとっても参照可能な知的基盤となるだろう。
個社では難しかった発信力を、業界として束ねる役割を果たす可能性もありそうだ。
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