ネットスターズ、羽田空港でUSDCによる店舗支払いを実証 近日開始予定

決済ゲートウェイ事業を手がけるネットスターズは、米ドル建てステーブルコイン「USDC」による店舗支払いのサービス実証を、羽田空港第3ターミナル内の一部店舗で近日開始予定だと発表した。
インバウンド旅行客向けに、USDCによる店舗支払いを取り扱う取り組みで、同社は日本初だとしている。
羽田空港でUSDCによる店舗支払いを実証 QR活用で実店舗に接続
ネットスターズは23日、インバウンド旅行客向けの新たな決済手段として、ステーブルコイン「USDC」による店舗支払いのサービス実証を近日中に開始することを発表した。
実施場所は羽田空港第3ターミナル内の一部店舗で、QRコードを活用した実店舗決済の検証を行う計画だ。
USDCは米国法令に準拠して発行されている代表的なステーブルコインであり、2025年7月に米国で成立したステーブルコイン関連法「ジーニアス法(Genius Act)」を背景に、決済分野での活用が国際的に注目されている。
こうした動きを背景に、日本国内でもJPYC(円建てステーブルコイン)の発行が開始されるなど、デジタル通貨への関心が高まっている。
羽田空港は日本の空の玄関口として多くの訪日外国人が利用しており、旅行者の多様な決済ニーズに応えることが求められている。
一方で、Web3上で流通していたステーブルコインをリアルな店舗決済に接続するには、一般に技術面・運用面での課題があるという。
今回の実証は、こうした課題に対する実践的な検証の場となる。
同社は自社の決済ゲートウェイ「StarPay」にUSDCを対応手段として追加し、提携先のWEA JAPANが開発したステーブルコイン決済用QRコードを提供する。
利用者がQRコードを提示し、店舗側が読み取ることで決済が完結し、加盟店は既存のQR決済と同様のオペレーションで精算できる設計だ。
なお本スキームは、資金決済に関する法律を遵守した形で開始できると、担当弁護士が確認したとしている。
※ステーブルコイン:法定通貨などの価値に連動するよう設計されたデジタル資産。
ステーブルコイン決済の社会実装は進むか
本実証のメリットは、ステーブルコインを「保有する資産」から「使う決済手段」へと位置付け直す点にあるとみられる。
為替両替や国際カード手数料を意識せずに支払える仕組みは、訪日客の利便性向上につながる可能性が高い。空港という高頻度利用の場で実施されることで、認知拡大の効果も期待できる。
一方で、暗号資産に不慣れな利用者への案内設計や、価格安定性に関する理解促進は引き続き課題となりそうだ。
店舗側にとっても、会計処理や税務対応の整理が不可欠となるだろう。
実証結果によっては、制度面での議論が改めて浮上する可能性も否定できない。
今後、実店舗決済の成功事例が積み重なれば、空港以外の商業施設や観光地へ展開する道も開けるだろう。
決済基盤を担う事業者と施設運営側の連携が深化すれば、Web3とリアル経済を結ぶ具体モデルとして評価が高まる可能性がある。
本実証は、社会実装に向けた重要な検証段階になると考えられる。
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