三井物産、生成AIで不動産DXを推進 業務効率化プラットフォーム「AIDeeD」

2025年12月17日、三井物産は、生成AIを活用した不動産業務効率化プラットフォーム「AIDeeD」を開発したと発表した。
物件取得から保有、売却までの業務を一元管理し、2026年春の本格提供を予定している。
三井物産、不動産DXを支える「AIDeeD」を開発
三井物産は17日、生成AIを用いて不動産取引・運用業務の高度化と自動化を図るプラットフォーム「AIDeeD」を開発したことを発表した。
2024年から実証実験を行い、書類整理や資料作成といった煩雑な業務で大幅な効率化を確認している。
実証を通じて得られた知的財産については特許出願も完了したという。
国内の事業用不動産市場は世界でも有数の取引規模を誇る一方、DX化の遅れによる生産性低下が指摘されている。
さらに、大規模取引の増加や金融スキームの複雑化を背景に、業界全体で専門人材不足が深刻化している。
「AIDeeD」は、物件取得時の書類整理から保有期間中のプロジェクト管理、売却時の資料作成までを一元管理する。
不動産関連の専門文書を生成AIで自動分類・整理し、リスク事項の抽出を支援する点が特徴だ。
グループ内での先行利用では、約200ファイルの整理作業時間を90%超削減する成果も確認されている。
業務効率化から戦略基盤へ進む可能性
「AIDeeD」の強みは、不動産業務に根付いてきた属人性や非構造データの課題に、生成AIで体系的に対応しようとした点にあると言える。
書類整理や資料作成を自動化することで、担当者は投資判断やリスク評価といった中核業務へ注力しやすくなるだろう。
取得から売却までを一元管理する設計は、長期案件が多い事業用不動産との親和性が高いとみられる。
一方で、AIが扱うデータの質に左右されやすい点は懸念材料となるだろう。情報が不十分な場合、分類や示唆の精度が低下する恐れがある。
また、判断プロセスが見えにくくなれば、説明責任や合意形成に課題が残る可能性もある。
標準化が進むほど、例外的案件や経験則に基づく判断が埋もれるリスクも意識されそうだ。
今後は、業務支援にとどまらず、意思決定を補助する基盤へ進化する可能性が考えられる。
データ活用が深化すれば、個別案件だけでなくポートフォリオ全体の戦略立案に寄与する展開も想定できる。
ただし、その成否はAIと人の役割分担やガバナンス設計に左右されるとみられ、段階的な検証と運用改善が鍵を握りそうだ。
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