パナソニック ソリューションテクノロジー、AIチャットボット「WisTalk」をバージョンアップ マルチターン機能を追加

2025年12月17日、パナソニック ソリューションテクノロジーは、社内問い合わせ・ナレッジ活用向けAIチャットボット「WisTalk」をバージョンアップし、会話の文脈を保持して応答するマルチターン機能を新たに追加した。
WisTalkにマルチターン機能を追加、会話内容をふまえた回答を支援
17日、パナソニック ソリューションテクノロジーは、社内問い合わせ・ナレッジ活用向けAIチャットボット「WisTalk」のバージョンアップを実施したことを発表した。
今回のバージョンアップでは、生成AI自動回答においてマルチターン機能が追加された。
単発の質問に答える従来型とは異なり、会話の流れを保持したまま複数の質問や要望に対応できるようになったという。
これにより、利用者は都度同じ質問や文脈を繰り返し入力する必要がなく、関連した質問を続ける中でAIが文脈をくみ取ることで、より自然な形で利用できる。
WisTalkは、パナソニック独自のチューニングを施したOCR(※1)対応RAG(※2)を採用しており、図や表を多く含む技術文書の検索にも対応する。
同製品は、問い合わせ対応にとどまらず、コーポレート部門や技術・開発部門が持つドキュメントをベースとしたナレッジ共有の手段として利用されており、特に品質保証部門での導入が増加している。
※1 OCR(Optical Character Recognition):画像やPDFなどに含まれる文字情報を解析し、テキストデータとして抽出する技術。
※2 RAG(Retrieval-Augmented Generation):外部の文書データを検索し、その結果をもとに生成AIが回答を作成する手法。
マルチターン化が示す企業AI活用の次段階
マルチターン対応により、WisTalkは単なる「検索型チャットボット」から、対話を通じて思考を補助する業務支援ツールへ近づいたといえる。
文脈を保持した対話が可能になったことで、前提条件の整理や情報の掘り下げが容易になり、問い合わせ対応や資料確認の負担は軽減されるとみられる。
OCR対応RAGとの連携が進めば、専門文書を扱う部門での活用価値も一層高まる可能性がある。
一方で、マルチターン化には注意点も伴うと考えられる。誤った前提を引き継いだまま対話が進行した場合、誤情報が連続的に拡張されるリスクは避けられないだろう。
また、AIへの依存が進むことで、現場での一次判断やドキュメント整備の重要性が相対的に低下する懸念も残る。
利便性と引き換えに、確認プロセスをどう担保するかが運用上の課題となりそうだ。
今後は、企業向けAIチャットボットが問い合わせ削減の枠を超え、知識継承や意思決定支援へ役割を広げていくと考えられる。
参照元の可視化やログ管理、改善サイクルが整えば、AIは業務に組み込まれた基盤として信頼を獲得していく可能性が高い。
WisTalkの今回のアップデートは、その転換点を示す動きと位置付けられそうだ。
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