松尾研究所と東光電気工事、AI設計支援システム「SOERU」を本格運用開始

株式会社松尾研究所は、東光電気工事株式会社と共同でAI業務支援システム「SOERU(ソエル)」を開発し、東光電気工事社内で本格運用を開始したと発表した。
AIによる図面認識や自動配置機能を備え、施工業務の効率化と熟練技術の継承を支援する仕組みとなっている。
AIが電気設備設計を支援 施工業務効率化と技術継承を推進
15日、株式会社松尾研究所は、東光電気工事株式会社と共同でAI業務支援システム「SOERU(ソエル)」を開発し、東光電気工事社内で本格運用を開始したと発表した。
松尾研究所と東光電気工事は、2023年8月より共同で建設・設備業界向けの次世代設計支援システム「SOERU(ソエル)」の開発を開始した。
両社は、労働生産性向上や人材不足、熟練技術の継承といった課題を背景に、松尾研究所のAI知見と東光電気工事の現場知を融合し、開発を進めてきた。
今回導入された第1弾機能「見積用設計図作成支援ツール」は、図面認識AIを用いて設備設計図の情報抽出をサポートするほか、法令やビル固有のルールを踏まえた自動配置にも対応する。
さらに、暗黙知を反映したチャットボット機能により、設計時の判断を支援し、質疑応答書の自動生成も可能にした。
東光電気工事は、限られた人員で品質と安全を確保しながら建設需要に応える必要があり、AIの活用による業務効率化・省力化・技術継承の仕組みづくりに着手していた。
松尾研究所は東光電気工事の業務フローを約50工程に分解し、定量評価を行いながら課題抽出を進めたという。
開発過程では、現場ヒアリングを基盤にアジャイル型で要件を磨き上げたことが特徴である。
松尾研究所と東光電気工事は、今後は他の領域での活用余地の検討・開発を含め、連携を強化していく方針を示している。
AIと人の協働で進化する建設業の未来
AI業務支援システム「SOERU」は、熟練技術者の知見をデジタル化し、施工現場の効率化を後押しする実用的な仕組みとして注目を集めそうだ。
メリットとして、AIによる図面認識や自動配置機能が設計工程の自動化を進めることで、作業の属人性を軽減し、労働生産性を底上げする効果が期待できる。
特に、チャットボット型の設計支援や自動応答機能は、現場間の知識共有を促進し、技術の標準化を進展させるとみられる。
一方で、AIの判断を支えるデータの精度確保は依然として課題になりそうだ。
入力情報の偏りや欠損が結果の信頼性に影響を及ぼす懸念があるため、改善には継続的なデータ整備が必要となるだろう。
また、自動化の進展により、若手技術者の現場経験が不足し、技能継承が形骸化するリスクも指摘される可能性がある。
今後は、「SOERU」が設計支援を超え、施工管理や安全予兆検知、教育支援などへ展開していく展開が見込まれる。
蓄積されたデータを活用し、組織の意思決定やナレッジマネジメントを高度化することで、建設業界全体のデジタルトランスフォーメーションを牽引する存在となるかもしれない。
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