PG Labs、Layer 2基盤「Pheasant Network」強化に向け資金調達

2025年12月10日、イーサリアムとLayer 2技術を軸にWeb3事業を展開するPG Labs(東京都渋谷区)は、国内外のベンチャーキャピタルや個人投資家を引受先とする総額3億円のシード資金調達を実施した。
PG Labs、グローバル支援を受けPheasant Networkの開発体制を強化
12月10日、PG Labsは、国内外のベンチャーキャピタルや個人投資家を引受先とする総額3億円のシード資金調達を実施した。
同社は、Ethereum FoundationやOptimism Foundation、Polygon Labsなど主要Layer 2(※1)プロジェクトからのグラント支援を受け、イーサリアムおよびLayer 2エコシステムの発展に取り組んできた企業である。
今回の3億円の資金調達では、調達額の約半分がETHおよびUSDCで実施された。
PG Labsは、「Public Goods(公共財)」の理念を掲げ、Web3スタジオとして企画・開発支援、グローバル展開支援、暗号資産トレジャリー戦略を手がけている。
特に、Layer 2間の相互運用性を担保する「Pheasant Network」の開発に注力しており、イーサリアムおよび30以上のLayer 2ネットワークに対応する仕組みを構築している。
Pheasant Networkは、AIによるIntent(※2)強化技術「AIntent」への取り組みを進めており、これまでに300億円以上のクロスチェーン取引を処理した実績がある。
独自の「Optimistic Interoperability」設計により、理論上“最速・最安”の相互運用を実現したと同社は説明している。
同社は今回の資金調達を通じて、Pheasant Networkへの研究・開発投資を拡充する方針を示している。
※1 Layer 2:イーサリアムの処理能力を補完する第2層の拡張技術で、取引コストの削減やスケーラビリティ向上を目的とする。
※2 Intent(インテント): ユーザーの目的や意図を理解し、最適なアクションや取引を自動的に実行するための概念。
公共性と収益性の両立へ Web3スタジオとしての展開に期待
PG Labsの資金調達は、イーサリアムおよびLayer 2エコシステムにおける技術革新を一段と加速させる契機となりそうだ。
特に、Pheasant Networkが実現を目指すクロスチェーン間の高速通信は、取引効率やUXを大幅に向上させ、Web3基盤の標準化を後押しする可能性がある。
また、ETHやUSDCによる柔軟な資金運用は、暗号資産経済と実体経済の橋渡しを図る上で戦略的に機能すると考えられる。
一方で、Layer 2間のインターオペラビリティ(※3)拡張には、高度なセキュリティ検証と持続的な監査体制が求められていくとみられる。
Intent制御にAIを導入する「AIntent」構想は革新的である反面、意思決定の自動化に伴う安全性や透明性の確保が課題となるだろう。
今後は、Pheasant Networkが実環境でどこまで安定稼働できるかが焦点となりそうだ。
もしIntent強化が実用段階に到達すれば、クロスチェーン取引やRWA領域への応用が進み、「資産のオンチェーン化」を現実の社会インフラとして定着させる契機になるかもしれない。
※3 インターオペラビリティ(Interoperability): 異なるブロックチェーン同士が相互に通信し、資産やデータを安全かつスムーズにやり取りできる仕組み。
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