四鏡、パラアート作品をNFT化し「αU」で流通開始 観光×アートで地域活性化を促進

2025年12月5日、株式会社四鏡は、KDDIのWeb3サービス「αU」を活用し、パラアートアーティストの作品をNFT化して販売する事業を開始すると発表した。
信州では観光とNFTを組み合わせた地域回遊モデルの実証を進めており、この取り組みが信州ベンチャーコンテスト2025でファイナリストに選出されている。
パラアート作品のNFT化で創作支援と観光施策を推進
5日、株式会社四鏡は、パラアートアーティストが生み出す作品をNFT(非代替性トークン ※)として流通・販売する新事業を開始すると発表した。
KDDIが提供するWeb3サービス「αU」を活用し、作品のNFT化を通じてデジタル上での保存性や流通性の向上を図る。
また、NFTの一次販売に加え、二次利用時の収益還元も見据えた仕組みづくりを進めるとしている。
同社は、物理展示に依存しない形での発表機会の創出や、デジタル技術を活用した収益化支援を目的に掲げている。
加えて、NFT化によって作品の保存性・希少性・トレーサビリティを高め、オンライン上でのコレクションやファンによる支援の形を広げる狙いがある。
実際に、薬害当事者でありパラアートアーティストの唐仁原直子氏は、「私たち薬害当事者が社会的存在になることで、助かる人たちがいると気付きました。このNFTを通して、多くの当事者の皆さんの希望になれたらと思います」とコメントしている。
さらに同社は信州地域で、“観光×NFT”をテーマにした地域回遊型の実証モデルを推進する。
酒蔵や工芸などの観光スポットにNFT取得ポイントを設け、来訪者がデジタルアートを獲得できる体験を設計した。
この取り組みは「地域文化の価値向上」と「インクルーシブな創作の仕組み」が評価され、信州ベンチャーコンテスト2025でファイナリストに選出されている。
※NFT:Non-Fungible Tokenの略称。デジタルデータに唯一の所有証明を付与できるブロックチェーン技術。
NFT化の意義と課題 文化とテクノロジー融合の展望
パラアート作品のNFT化は、アーティストの新たな収益源を生み出すだけでなく、障がいの有無を問わず創作を支援する「インクルーシブな文化経済圏」の形成につながる可能性がある。
物理的制約を超えて発表・販売できる環境は、表現の自由度を高め、地方からでも世界に発信できる仕組みを後押しするだろう。
一方で、NFT市場全体が価格変動や取引プラットフォームへの依存といった不安定要素を抱えている点は、今後も課題として意識されるだろう。
利用者にとっては購入や保管の手順が依然として複雑であり、デジタルリテラシーの向上が求められていくとみられる。
こうした課題を踏まえ今後は、技術的・金銭的なサポート体制の整備が一層進むことが期待できる。
観光とアート、福祉を掛け合わせたこの試みが、地域文化を再定義し、デジタル時代の「共感経済」を支えるモデルとなる可能性がある。
NFTがアート流通の新たな基盤として定着すれば、日本発のWeb3文化創出にも寄与すると考えられるだろう。
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