ベクターHD、Cornamiの省電力×暗号技術特化AIサーバー導入 アデコ連携も発表

ベクターHDは米Cornami製の省電力・暗号技術特化AIサーバーを導入し、アデコと連携して日本発の安全で持続可能なAIインフラ構築に向けた取り組みを開始した。
省電力・高安全性サーバーを導入 国内AI基盤の信頼性を強化
3日、株式会社ベクターホールディングス(以下、ベクターHD)は、米Cornami社製の省電力・暗号技術特化サーバーを導入し、アデコ株式会社とデータアノテーション領域での連携を開始したと発表した。
Cornami社が開発した非ノイマン型アーキテクチャ採用の高性能AIサーバーは、従来のGPUサーバーに比べて電力効率が高く、ワットあたりの処理性能に優れるという。
これにより、AI推論に伴う電力消費を抑制できる可能性がある。特筆すべきは、FHE(完全準同型暗号)技術を搭載し、データを暗号化したまま処理可能な点だ。
これにより、医療や金融など高機密領域におけるAI活用の安全性が飛躍的に高まることが期待されている。
同社は今後、Cornami社と協働し、国内環境での性能検証および適合性評価を進める予定である。
また、アデコ社との提携により、日本語特有の文体や文化的文脈を反映した学習データ整備を推進する。
さらに、AI精度の要となるアノテーションの品質向上を図るという。
両社の技術・人材の強みを組み合わせ、国内企業が安心してAIを導入できる環境の整備を進める方針だ。
AI導入が加速する中、国内では電力制約や情報管理リスクが課題とされる。
今回の取り組みは、性能・安全性・持続性の観点から、国内におけるAI基盤整備の検討を進める動きとして位置づけられる。
「安全で持続可能なAI基盤」への転換点に
ベクターHDの取り組みは、日本発のAIインフラ構築を実現するうえで、持続可能性と安全性を両立させる重要な試金石になりそうだ。
最大のメリットは、Cornami製非ノイマン型チップの採用により、AI処理の電力効率を飛躍的に高められる点だろう。
電力コストや環境負荷の削減は、国内のAI運用コストを最適化し、企業が安心して生成AIを活用できる環境づくりを後押しするとみられる。
また、FHE(完全準同型暗号)対応サーバーによって、暗号化データのままAI解析を行える体制が整えば、医療・行政・金融など高機密領域でのAI導入が進む可能性もある。
一方で、チップ製造コストの高さや海外技術への依存は依然として課題であるため、供給網の安定化や国内技術者の育成が求められると考えられる。
今後は、省電力・暗号処理・高品質データの3要素を軸に、エネルギー制約下でも安全に運用できるAI基盤の構築が進むだろう。
産業界や政府の動向次第では、日本独自のAIインフラモデルが世界に発信される展開も期待できそうだ。
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