三井物産デジタルAMのデジタル証券、オルタナで早期償還と年5.0%成果

2025年12月3日、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社は、同社が運用するデジタル証券ファンド「三井物産のデジタル証券~日本橋・人形町〜(譲渡制限付)」を早期償還し、最終期決算を公開したと発表した。
不動産売却益で想定上回る成果 運用期間を約半分に短縮
3日、三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社は、同社が組成した不動産型デジタル証券ファンドを予定より早期に償還したことを発表した。
当初4年10か月の予定だった運用期間は、早期売却により約2年4か月での早期償還となり、当初発行価格(1口当たり100,000円)に対して、信託期間累計で投資元本を含め1口当たり111,763円(税引き前)の分配・償還となった。
年率換算では5.0%の利回りとなり、募集時に掲げた3.0%を上回る成果である。
主な増加要因は、不動産の売却益によるキャピタルゲインとされている。
なお、同社が運営する個人向け投資サービス「ALTERNA(オルタナ)」では、スマートフォンから10万円単位で不動産や発電所などの安定資産に投資できる。
2023年の提供開始以降、累計19本のデジタル証券を発行し、利益分配金は25億円を突破。
同社によれば、発行本数は国内最多だという。
デジタル証券は、改正金商法で定義された新たな有価証券であり、ブロックチェーンを用いて権利移転を電子的に管理する仕組みを指す。
2025年10月末時点での発行累計額は2,800億円を超え、三井物産デジタルAMはその主要プレイヤーの一社とされる。
※ブロックチェーン:分散型台帳技術の一種。
取引履歴を改ざん困難な形で記録・共有する仕組みのこと。
デジタル証券市場拡大へ 個人投資家の裾野広がる可能性
デジタル証券の早期償還は、個人投資家にとって新しい安定資産の選択肢を提示した点で意義深い。
想定利回りを上回る成果は、オルタナのような少額投資型プラットフォームが「小口でも資産を増やせる」実証例として、信頼向上につながる可能性がある。
こうした動きは、国が掲げる「貯蓄から投資へ」の流れを後押しし、デジタル証券市場の普及を一段と加速させるだろう。
一方で、市場拡大の裏では流動性や適正評価の確保、規制整備などの課題も顕在化していると考えられる。
裏付け資産の価値変動リスクをどう開示し、投資家保護を両立させるかが今後の焦点となりそうだ。
今回の成果は、デジタル証券が実証段階から実運用フェーズに移行したことを示す節目ともいえる。
今後は、不動産にとどまらず、再生可能エネルギーや社会インフラといった長期安定収益型の分野にもトークン化の波が広がっていくとみられる。
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