住友商事、SansanデータをMicrosoft 365 Copilotに連携 AIで営業効率化を検証

2025年11月26日、Sansan株式会社は、ビジネスデータベース「Sansan」の新機能「Sansan MCPサーバー」が住友商事でトライアル導入されたと発表した。
名刺や商談履歴などの接点情報をMicrosoft 365 Copilotに連携し、AIによる意思決定支援を高度化する狙いがある。
住友商事、SansanデータをCopilotと連携 接点情報のAI活用を検証
Sansanは26日、住友商事において「Sansan MCPサーバー」がトライアル導入されたと明らかにした。
同社が提供する「Sansan MCPサーバー」は、生成AIと外部システムを接続する標準規格「MCP(Model Context Protocol ※)」を利用し、Sansan上のデータを外部の生成AIサービスで扱えるようにする仕組みである。
これにより、Sansan上に蓄積された名刺・商談履歴・企業情報などをMicrosoft 365 Copilotなどで直接参照できるようになる。
住友商事は、中期経営計画2026で「デジタルで磨き、デジタルで稼ぐ」を掲げ、生成AI活用を進めている。
2024年4月からMicrosoft 365 Copilotをグローバル全社導入し、2025年10月には月間アクティブユーザー率90%、年間約12億円のコスト削減を達成するなど、先進的なAI活用文化を築いてきた。
今回のトライアルでは、Microsoft 365 Copilot上でSansanの接点情報を活用することで、会議準備や提案資料作成、メール対応などの業務効率化が期待される。
参加者の関係性や過去の商談履歴を自動抽出して会議を支援したり、企業情報を基に提案内容を生成したりといった効果が例として挙げられている。
Sansanは、今回の住友商事での導入を皮切りに、一部の企業での実証を進めながら機能強化を図る方針を示している。
※MCP(Model Context Protocol):生成AIと外部システムを接続し、システム内のデータをAIがリアルタイムに参照・活用できるようにする仕組み。
MCP対応がもたらす企業DXへの波及効果
今回のトライアルは、企業が自社データをAIに統合する新たな道を切り開く動きといえる。
最大の利点は、名刺や商談履歴といった接点情報をもとに、AIが顧客との関係性を立体的に把握できる点だろう。
これにより、提案内容の精度が高まり、営業活動の効率化にも寄与するとみられる。
一方で、個人情報を含む接点データをAIが扱うことによるプライバシーやアクセス制御の課題も避けられないと考えられる。
特に、企業間で共有される情報の境界が曖昧になるほど、データ管理体制の厳格化が求められるだろう。
今後は、Microsoft 365との連携を基盤に、SansanのMCPサーバーが「企業知識の中枢」として進化できるかが注目できる。
もし安全性と利便性の両立を実現できれば、国内DXの加速に寄与するAIプラットフォームとして定着していく可能性もありそうだ。
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