AI学習にNHKアーカイブ活用 安野貴博が国産AI強化を訴え

11月25日、参議院総務委員会でチームみらい党首の安野貴博議員が初質問に立ち、NHKの放送アーカイブをAI学習に活用する提案を行った。
国産AIの競争力強化に向け、法制度や権利処理の在り方を問う場面となった。
AI学習にNHKアーカイブ活用を提案 安野議員、国産AI強化へ法整備を訴え
チームみらいの安野貴博議員は25日の参議院総務委員会で、AI学習にNHKの放送アーカイブを活用する可能性を提案した。
安野氏は、「日本の文化、習慣等をふまえた信頼できるAIを作るための課題は、学習データの量と質にあると考える。」と述べ、文章だけでなく音声や映像など多様な情報を活用できる環境づくりが課題だと指摘した。
その上で、「AI開発の現場においては、良質な日本語データ、日本に関するデータが不足している」「テキストデータだけでなく質の高い音声データや映像データが求められている」と述べ、英国の公共放送BBCが研究機関に番組データを提供している事例を紹介。
「NHKではこうした活用がほとんど進んでいない。これは極めて大きな機会損失だ」と強調し、法制度と環境整備を求めた。
林芳正総務大臣は「我が国企業の信頼できるAIの開発力強化を支援すべく、NICT(情報通信研究機構)、ここがAI学習用の日本語データを整備、拡充していて、企業などにこれを提供する取り組みをやっていて、これをまずは進めていく」と説明。
その上で「NHKが保有する放送番組等のデータは貴重な資産で、AI開発という観点で活用されるのは大変意義の深いことだ。いっぽうでNHKがデータを研究開発用に外部提供するか否かは、NHKが公共放送としての役割を踏まえつつコスト負担、権利者の保護などふくめ自ら検討を行って判断すべきものと考える」と述べた。
安野氏は「NHKのデータ、非常にこれからのAI時代において貴重なものになると思いますので、ぜひ活用が進むよう検討をお願いしたい」として今後の検討を要請した。
公共データの活用が鍵に AI競争力強化と権利保護の両立へ
NHKアーカイブのAI活用は、国産AIの競争力を高める有効な手段となる可能性がある。
映像や音声を含む大規模な日本語データが利用可能になれば、生成AIの言語理解力や音声認識の精度が大幅に向上し、日本文化に根ざした応答やコンテンツ生成も期待できる。
特に、地方の方言や伝統表現などを学習に組み込むことで、多様性を反映したAI開発が進むだろう。
一方で、著作権や出演者の肖像権、二次利用の範囲といった権利処理は今後も大きな課題となりそうだ。
公共放送のデータを民間利用に供する場合、費用負担の公平性や透明性をいかに担保するかが焦点になっていくとみられる。
加えて、データ活用が商業目的に偏らないよう、研究・教育用途とのバランス設計が求められるだろう。
今後、政府が進める「信頼できるAI」政策の中で、NHKを含む公共データの位置づけがどのように整理されるかが焦点となりそうだ。
制度整備が進めば、文化資産を未来技術へつなぐ象徴的な取り組みとして注目を集めるだろう。
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