大阪ガスネットワーク、AIカメラ搭載バスで巡回効率化 無連絡工事の発見件数が約2倍に

大阪ガスネットワークは25日、京都市交通局と連携し、AIカメラを搭載した路線バスによるガス管パトロールを開始した。
自動検出により巡回を省力化し、無連絡工事の発見件数は導入前の約2倍に増加している。
AIカメラ搭載バスで巡回を省力化 無連絡工事の発見件数が増加
25日、大阪ガスネットワークは京都市交通局の協力のもと、工事現場をAIで自動認識する車載カメラを活用したガス管パトロール業務を京都市バス路線で開始した。
大阪ガスネットワークは、ガス管の安全を確保するために、道路掘削工事(以下、「他工事」)の監視を強化している。
掘削時にガス管が破損すると大規模な事故につながるおそれがあるため、同社は2021年からAIカメラを搭載した路線バスによる巡回を開始した。
AIが走行中に撮影した画像から工事現場の可能性が高い箇所を自動検出し、オペレーターが確認する仕組みである。
この取り組みにより、従来は点検員が専用車で1日かけて行っていたパトロールをバスに代替でき、巡回の省力化と効率化が実現した。
さらに、路線バスは1日に複数回同じルートを走るため、巡回頻度が高まっている。
夜間など人の巡回時間外に実施される工事についても、バス走行時の監視が可能となり、ガス管の破損リスク低減に寄与している。
2024年度の実績では、AIカメラを導入した地域で無連絡の他工事発見件数が導入前の約2倍に増加。
今回の京都市での運用開始により、AIカメラを搭載した路線バスは累計110台となった。
これにより、大阪市、神戸市、京都市の3都市でAIカメラによるガス管パトロール業務が実施されることになる。
AIによる保安業務の進化と課題 効率化と信頼性の両立へ
AIカメラの導入による最大の利点は、既存インフラを活用して監視網を拡大できる点にあるとみられる。
路線バスをパトロール車として活用する発想は、人的リソースを増やさずに安全性を高める効率的な仕組みとなりそうだ。
また、AIが膨大な画像データを解析し、工事現場の兆候をリアルタイムで抽出することで、危険箇所の早期発見や事故予防につながる可能性がある。
業務の省力化に加え、社会インフラの保全を担う労働力不足の課題にも対応する取り組みへと発展していくと考えられる。
一方で、AIカメラが撮影する映像の取り扱いには慎重さが求められそうだ。
通行人の特定を目的としない運用であるものの、プライバシー保護やデータの適正管理は今後も欠かせない課題となるだろう。
大阪ガスネットワークは不正利用や外部流出防止のため、画像の厳重な管理と一定期間後の削除を徹底しているが、技術拡張が進むなかで透明性の確保が一層重要になっていくとみられる。
今後はAIの認識精度の向上や、他インフラ事業者との情報連携による広域監視の自動化が進展していく可能性がある。
AIが保安業務の主軸を担う時代に向け、効率化と社会的信頼性をどう両立させるかが焦点になっていきそうだ。
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